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「第27話」NYC市立短期大学の学期制と恐怖のESL制度

エピソード4(ニューヨーク・短期大学時代)第27話

今から考えてみれば愚かだったと思うが、留学生向けの英語のクラスを受講してからしばらくたった後も、自分のその後の展望というのを見い出せていなかったように思う。当時は無我夢中で英語を勉強していたが、ESLの制度を理解するようになったのは、ESLを受講し始めてから数週間経った頃だと思う。もともと自分がラガーディア短期大学に来たのは、ジュリアードに編入する(つもりでいた)までの一年間、出来るだけ単位を取って編入後に音楽の授業に集中する事と、教養を身に着け英語のスキルを上げるためだったから、ESLを取る、しかも底辺のクラスから始めるというのは想定外の事だった。

入学当初のクラス分け試験で悲惨な結果に終わった私が留学生向けの英語のクラスをとるまでの経緯は今まで何度かお話ししたと思う。

実は留学生向けの英語のクラスは二種類ある。前回話したカーネルサンダース似のおじいちゃん教授のクラス・ESL97はライティングのクラス。それともう一つESLのクラスがある。CSE95というリーディングのクラスである。一般の大学生が受ける講義を留学生が受けるには英語リーディングとライティングの試験を再び受けてパスしないといけない。その試験を受ける権利を得るにはまずESLのクラスをパスしないといけないのだ。その事を知った私は長い道のりに愕然とした(←いまさら何をと言っちゃいやーん♡)まず、ライティングはESL97,98,99と三段階あり、リーディングはCSE95と98の二段階ある。つまり野球で例えるならライティングは3軍、2軍、1軍をパスし、そしてオーディションをパスしたものだけが、大リーグに行けるとようなものだ。リーディングは2軍スタート。私はライティングは3軍スタート、リーディングは2軍スタートとなった。( ;∀;)はーん気が遠くなる。

ニューヨークの市立の短期大学は大体どこも同じだと思うが、私が通っていた短期大学は4学期制だったので、一学期が2、3カ月と短かった。その為一日に同じ授業が3,4時間続けて行われることもあり、毎学期濃密な時間を過ごした。F1留学生はビザを維持するためには半年で12単位を取ればよいので、一学期丸まる休学にして、残り半分の学期で12単位をとる学生もいたが、ESLを半強制的に取らされた私はそうはいかなかった。ESLだけで12単位近く取らされることになった。加えて数学もあった。つまり一般大学生の二倍は忙しかったと思う。それからピアノの練習も毎日2,3時間はやっていた。多いときは6時間 笑 (あと週3でレストランでピアノを弾いていたりもした。その事の話はまた次回。)

しかし、この4学期制というのはやる気がある人には良いかもしれない。何しろ二倍頑張れば一年で二年分の単位が取れるのだから。よくアメリカの大学では夏の学期を利用し、一年に3学期クラスをとったりして大学を3年で卒業する人もいる。

当時の自分は、開き直っていたと思う。もう自分は馬鹿なんだ、屑なんだ。ここで一生懸命英語を勉強して這い上がってやる!!というような気持だったと思う。やる気満々。性欲も満々(●^o^●)とにかく計算上はESLのクラスを順調にパスすれば、ライティングのクラスは3学期で終了。リーディングは2学期(つまり半年)で終了である。そして一般教養を受講するための再試を受ける権利が得られる!そのように踏んでいた。そう計算上では。

ニューヨークに移り住んでからしばらく、ジャクソンハイツの半地下部屋で日本人のルームメイト鈴木君とキッチンで良く出くわした。彼もラガーディアの写真学部を卒業し、アーティストビザでニューヨークに残っていた。彼は自分と同じ大学に行っていた私を心配してくれたのか、色々と気にかけてくれた。

「二見さん、大学どうですか?」
「いやーそれがESLを取る事になってね。ま、仕方ないんだけどね。」
鈴木君は慰めるように言ってくれた。
「あー大丈夫ですよ。一年はESL取る事になるかもしれなですけど、俺もESLとって大分英語上達しましたよ。俺もクラス分けテストの結果が散々でESL97から始めたんですよ。でも97を最初の学期ではパスできなくて、半年ESL97を受講したんですよ。クラス分けテストを再度受けるまでに一年かかりました」

私は信じられなかった。鈴木君の部屋からは、彼のクライアントか友人か知らないが、電話で流暢な英語を話鈴木君の声が聞こえる。彼は数年前まで、本当に英語が出来なかったのだろうか。私は大丈夫なのだろうか。

私の顔は引きつっていた。

【続く】

写真:音楽史の先生フルトン先生。彼との思い出話もまたの機会に(*^▽^*)


ジャズピアニスト 二見勇気
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