[weryfikacja 検証50] filiacja/filiation - ノクターン第2版
filiacja/filiation とは、原資料(źródła/sources)間の類縁関係のことです。 例えば ノクターン 変ニ長調 作品27の2 の原資料間の類縁関係、filiation はこのようになっています(上がポーランド語、下が英語):
filiacja(フィリアツィア), filiation(フィリエイション),
原資料(źródła/sources)間の類縁関係。
自筆譜(A)/autograf/autograph に始まり、どのように各国の出版につながっていったか、すべての原資料がどう関係しているか、このような図で全体像をつかむことができます。
ショパン・コンクール開催中、国立フィルハーモニーホールで大きなパネルが展示されていたこともあります。 パネル7枚のうち1枚が FILIACJE (原資料間の類縁関係)。 ノクターン ロ長調 作品62の1、マズルカ 変イ長調 作品59の2 の原資料の filiation が示されています。
2023年2月15日発行のノクターン第2版(別の訳者による翻訳)では、filiacja (原資料źródła/sources の類縁関係)は「各原資料の由来と相互関係」と訳されています。 この訳のどこが問題か。
問題は2点あります。
1.
authentic の訳のケースと同様、原資料は自筆譜から始まるという基本的な認識が欠けている。
例えば「この初版は◯◯◯に由来する」と言うことができます。 ソナタ 変ロ短調 作品35 の場合 「ドイツ初版はグートマンの筆写譜に由来する」と。 これは 「ドイツ初版はグートマンの筆写譜が底本(下地)となっている」 と言っているのと同じです。
「この初版は◯◯◯に由来する」とは言えますが、 「この自筆譜の由来は?」とは言いません。 「各原資料の由来」という訳は「ショパンが関与した原資料」の訳と同様、 原資料は自筆譜から始まるという基本的な認識が欠けていることが明らかで、 読む人に正しい意味が伝わらない。
2.
ナショナル・エディションでは原資料の全体像を図で示しており、“相互”だけではない。しかしこの日本語訳「由来と相互関係」では不必要に細かく分けて訳されている。filiacja は単数形。関係の全体像です(FILIACJE は全体像 filiacja の複数形)。
・filiacja źródeł
(原資料 źródło 複数形 źródła 生格 źródeł 類縁関係 filiacja)
・filiation of the sources
Special thanks:
mUltimateChopin.com, Fundacja Wydania Narodowego Dzieł Fryderyka Chopina, Prof.Paweł Kamiński, Pan Marcin Gorayski
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