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世界的にリアルイベント開催の規制緩和が進んでいるなか中国は予想以上だった!試飲・試食に賑やかな商談も

先週11日、当初9月末までの期限だった新型コロナウイルス対策に関するイベント開催の制限が19日から緩和されることが政府から発表されました。

それにより5,000人規模までとされていた人数制限の上限が「5,000人を超え、収容人数の50%までを可とする」と上がったり、クラシックのコンサートなど感染リスクの低いイベントについては収容率要件が会場の100%以内なら可となりました。イベント業界関係者はもちろんのこと、コンサートやスポーツなどのファンにとっても注目度が高いニュースといえると思います。

では、国外のイベント再開状況はどうでしょうか。世界28ヶ国に拠点を置くイベント運営企業コムエクスポジアムの日本支社長として私が各国の同僚たちから聞いた、国や地域別の状況を簡単にまとめてみます。9月11日現在の状況ですので日々変化しているという前提でお読みくださいね。


【オーストラリア、ニュージーランド】再開はしているもののロックダウンの実施/解除のオンオフが細かく行われているので再度の中止もありえそう。
【シンガポール】国内の移動制限や開催規制があり再開とは言いにくい。
【ヨーロッパ各国】(国により大きく差はあるものの)おおむね9月末まではイベントの開催に制限がかかっており強制力も強い、その代わりに会場キャンセル費用の保証やイベントスタッフの賃金の手当が出ているケースも。
【アメリカ】イベント開催自体への規制はほばないが国土が大きい分移動制限がかかっており実態として大規模イベントは開催できない状況、ただ元々ウェビナーなどが盛んなのでオンラインイベントに切り替わっている傾向。
【中国、韓国、台湾 】イベント再開が早かったのがこの地域。特に中国は6月末から数万人規模のイベントが再開されており、国内であれば移動制限もない。

こうして世界的な視点で見ると日本のイベント開催の規制緩和は比較的早いですね。イベントが再開できるようになっている分、強い強制力でイベント開催が禁じられている国と違い費用の、保証やイベント従事者への手当が薄いのでどちらがいいのかは考え方次第でしょうか……難しいところですけど。

ところでこの写真、いつ撮られた写真だと思います?

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正解は今年6月の中国!「National Food and Wine Expo in Jinan」というイベント入場口の様子です。来場者が皆マスクを着けているものの、混雑具合はついヒヤヒヤしてしまうレベル。しかも、食とワインの展示会なので各所で試食・試飲が行われています。

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すごい、なぜ新型コロナウイルスの流行前と同じようなイベントができるの?と中国の同僚に深掘りしてみたところ「健康码」による徹底的なデータ管理が肝のようです。

徹底した個人データ管理で感染リスク確認

この「健康码」とは日本語にすると「健康ID」とか「健康コード」と呼ばれる「健康に関する身分証アプリ」です。スマホに入れて個々人の新型コロナウィルスの感染リスクを証明します。このアプリは「Alipay(支付宝)」や「WeChat」など中国で生活するには欠かせない他の有名アプリ、そして政府が持つデータと連携しており、行動履歴から導き出されたコロナ感染リスク度合いによって順に緑・黄色・赤に色が変わるQRコードを表示させます。そしてオフィスビルやお店などどこに行くのにもこのQRコードを見せて「緑=コロナ感染リスクが極めて低い」と証明しなければならない生活・経済のスタイルになっています。イベント入場時などQRコードをスキャンすれば行動ログが見られるので、日本で暮らす私たちの個人情報取り扱い感覚からするとびっくりですよね。

「健康码」が緑でなければどこにも入れないので、逆にイベントは「来場者に新型コロナウィルスの感染リスクがある人は1人もいない」という前提になり、結果的に新型コロナウィルス流行前とほとんど変わらない風景になっているのだとか。だから試食も試飲もあるし、商談の声で会場は賑やかです。日本ではフェイスガードやアクリル板越しの商談であったり、距離を取っての挨拶であったりとコミュニケーションが縮こまってしまいがちという話も聞きますが、それもあまりないようです。また、国内であれば移動制限もないので国内向けイベントであれば来場者の数に変化はありません。ただ、入国制限は引き続きあるので国外からも参加者がくるイベントでは国外の出展者、来場者の分はごっそりと減っているとのこと。

この中国のイベント再開状況、日本で例えるならば、厚生労働省のCOCOAを国民全員がダウンロードしていて、各種SNS、メッセージアプリ、決済アプリ、地図アプリが持つ行動ログを国が保有する感染者データと連携させていて、さらにその個人情報を本人以外も見られるというシステムなので、前述のとおり感覚的にもハードルがかなり高いですし、そうそう真似はできるものではありません。日本は日本の事情と倫理にあったマネジメントが必要です。まだまだ手探りな状況は続きますが、相性や実現角度を冷静に見極めつつ、外の施策で真似ができる要素はどんどん取り入れていきたいと思っています。

実は弊社も、明日の9月17日からリアルイベントを再開させます。グローバルチーム28か国の中でみても、コロナ後のリアルイベント開催はなんと中国チームに次いで2番目の先陣。運営方法についてもほとんど前例がないなか、2度の開催延期や度重なるキャンセル手続き、最終的には会場変更(沖縄→東京)など、この一つの中規模カンファレンスだけでもいまだかつてない変化対応に追われました。ですが、ポジティブにとらえれば、前列が無く大変だけど、先駆者になれる可能性もある!という話。
今後の大規模カンファレンス再開にも備えて、日々チューニングしながら、NewNormalなイベントの形を考えていきたいと思います。

このリアルイベントの様子は、後日noteに公開予定です!ありがとうございました。

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