見出し画像

鎖に繋がれた象…

またひとつ寓話(改)を紹介いたします。

ある所に鎖で繋がれた象がいました。
その鎖が固定されているのは木製の杭ですが、確かに太くてしっかりと打ち込んであり、そう易々とは外せません。
この象も子象の頃なら外せませんでした。
生まれながらにこの頑丈な杭に繋がれて、寝ても醒めても違った景色を求めて脱出を繰り返しましたが、どうにも外せない杭に、その気持ちもとうに失せてしまったのです。

大人になり、自分の身体が大きくなって、既にその杭を外すことは余裕で叶うのに、その象はその事に気づがずに今まで通りただその場で与えられた環境に満足して、そこから離れたいと四六時中思っていた身体の小さかった子象の頃と同じ場所で暮らすのでした。

いつかその簡単な事に気づく時まで……

あたりまえのようにその場から離れずに生活を続けるその象……
その背中には自由に空を飛び回っている小鳥も疲れを癒すためにとまっています。

鳥はいいました…『ねぇ、何時もこの場所に繋がれている象さん、何でここから動かないの?』

象はそ知らぬ顔でこう返します…「動かないって?動かなければ生きていけないだろ?」
「ご飯も食べれるし、水も飲める。動けなくなったらそれは死んだも同然だよ」

鳥は真面目にこう返します…『そんなのあたりまえだよ!何でお前さんはこの場所を離れてもっと遠くへ行かないんだい?』

象は怒った口調でこう言います…「見てわからないのか!!鎖で繋がれて動けないんだよ!!」

鳥の方は半ば呆れたように…『そうは思えないけど……』と言いますが…

長かったストレス塗れの生活に心の荒んでしまった象は、「うるさい!!お前さんには翼があってさぞかし自由だろうな!!」と、ありがたすぎるチャンスを勘違いで棒に振るハメになるとは知らずに怒り狂っています。

鳥は『……………』

鳥は疲れを癒せたので、仲間たちと一緒にその可哀想な象の背中から、また大空へ羽ばたいて行きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?