今香港にいて感じていること

国安法が今日から施行された。

昨日の可決されたという速報には、ショックを受けてかなり落ち込んだ。そして今日の午後飛び込んできた、独立と書かれた旗を持っていた男性が逮捕されたとのニュース。

見せしめ、脅し的な逮捕とは分かっているが、本当に施行されたんだ、もはやここは大陸と同じなんだと思った途端、香港が終わってしまったような暗澹たる気持ちになった。

自由と自立の国で生きてきた人たちが、ある日突然、理不尽な理由で叫びたいことが自由に叫べなくなった。日本人の私ですら、この件でSNSに自分の気持ちを吐き出そうとつらつらタイプしてみたが、これすら検閲されるのかもしれないと思うと、最後のクリックを押す勇気が出ない。

この法案によって、長い歴史上、香港を守ってきた自由と法治の壁が、いとも簡単に崩れた。

中国という強権に向き合いながらも、与えられた自由な空間で絶妙なバランスを取りながら香港人が築き上げた、この土地独自の社会、経済、文化、それら全部が骨抜きにされた。

悔しい。悔しすぎる。香港の価値を理解し、敬い、幸せに過ごしてきた人たちの思いを想像すると苦しくなる。

矛盾した政治に長年声を上げ続けてきた、民主派のアップルデイリーというメディアがある。私は以前彼らのおかげで、小さな小さな夢を果たさせてもらった。

インタビュアーは、私より10歳ほど若い、聡明で物腰の柔らかい素敵な女性だった。彼女とは今でも交流がある。アップルデイリーの創始者さえ逮捕されるのではと噂される今、彼女はどんな思いで過ごしてるんだろう。

日本では、black lives matter はニュースで大きく取り上げられるが、中国の圧力を受ける日本のメディアは、立場上のせいか、香港問題の真実を伝えきれず、どこか遠い世界で起きる他人事のように思ってる人が多いようだ。

しかし、国際政治の大きなバランスが崩れかけていることから、遅かれ早かれすべての国に影響が出てくるのは間違いない。

今のところ、遺憾だ、というレベルで抑えている日本政府だが、日本は、他国が真似できない絶妙な間の取り方ができる国だという点で評価されている。この危機的状況で、米中の狭間に立ってどんな外交をしてくるのか。一人の日本人として期待したい。

敬愛する香港人の一人、Utahleeが、暗澹たる気持ちになっていた私を鼓舞してくれた一文。

No matter where you are from, if you love HongKong, you are HongKonger.  I’m homeKong kids. I’m proud. 


香港人は強い。 香港人魂は死なない。

勇敢で賢明で平和主義で善良な人たちがここにいる。

大きな過ちを犯したあのキチガイ党を国際社会が許すはずがない。人権を無視し、自然に背いてきた罪は大きい。

「諦めない人々には、想像の自由がある。」

生きている限り希望がある。

今の状況で、そう簡単に前を向くことはできないけれど、本当の「自己決定の自由」を香港が手に入れる日が来ると、想像したい。信じたい。





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