日本の故郷の味、思い出の味、ポップアップ
久しぶりに行ったベーカリーIscoとのポップアップ、ディナーイベントが無事に終わった。
今回は、コースっぽい形で、こちらで準備したメニューを一皿ずつサーブしていく形で。
テーマは、日本で生まれ育った時の思い出が蘇ってくるような品々や、母の故郷、それから母に教わった料理などの、家庭料理が中心で、その他はベーカリーとのコラボハンバーガー。
近頃のリスボンはラーメン店や、寿司をコースで出す店など、日本食店が相変わらず続々と出店しているけど、こういう家庭料理とか、地方の料理ってきっと触れ合う機会がないだろうから、面白いのではないかと思った。
冬瓜の炊いたやナスのオランダ煮は、夏の間によく食べたもの。本当にこれにそうめんとかが最高だけど、炭水化物ばかりになってしまうから、前菜として。
日本に帰るたびに、必ず家族で食べる品の中に、五食納豆という、母がある日作って、それからみんなの大好物になった一品をどうしても紹介したかった。でも納豆は本当に好き嫌いがあるので、今回はオクラをたっぷり、入れて、漬にしたマグロ、たくあん、ねぎ、紫蘇、を合わせて温泉卵を真ん中に乗せて混ぜて食べてもらう。
ポルトガル北部で愛情を持って育てられたナチュラルポークの黒豚のロース肉を使った、夏の野菜も混ぜて作った豚汁。
そして、
みんなに食べてもらいたかった、柿の葉寿司
。
柿の葉寿司は、奈良の伝統寿司だけど、私の母の故郷、石川県小松市でも、秋になったら柿の葉で押し寿司を作っていたんだそう。鱒寿司も有名だけど、今の季節だったらぜひこの柿の葉寿司を知ってもらいたかった。
柿の葉は、いつもお世話になっているオーガニック野菜を売るフェルナンド氏にお願いして分けてもらった。まさかポルトガルで柿の葉寿司を作って食べれる日が来るとは!
この大きな木の型も、母が使っていたものを譲り受けた。
本当はマスと鯖にしたかったのだけど、この日は良い鯖が入荷せず、鯵とサーモンを酢〆めにして。
箱を開けた時にフワッと立ち上る、酢飯と柿の葉の混じった香りが一気に日本に連れ戻してくれる。小松から大阪に帰る雷鳥号やお土産でうちでよく食べたなぁ!
お客さまたちも、この珍しいお寿司をとても興味を持って、楽しんでくれた。
隣には、ポルトガルの代表的食材、干しだらを、日本の棒鱈に見立てて、甘辛く味付けしたものを中に入れただし巻き卵。「実は日本にも棒鱈というものがあるんです」と説明したら、大層驚く人がたくさんいた。
写真を撮れなかったけど、学生の時に母に教えてもらってよく作っていた、焼いた手羽を出汁と醤油、味醂で炊いたもの。最後にちょこっとだけ酢を分らない程度に入れるのが隠し味。
そして最後にIscoで焼かれたバンズを使った、エビクリームコロッケのハンバーガー。これだけは、日本の思い出とは関係ないけど、せっかくベーカリーとコラボするのだったらぜひ作りたかった。
デザートは、抹茶とブルーベリーのバスクチーズケーキ、いちじくのコンポートに黒胡麻ソース、それからマンゴー大福
もちろん、美味しい日本茶やお酒も用意して楽しんでもらいました!
こんなちょっと一味違う日本のご飯の夜、皆さん楽しんでいただけたようで、本当にやってみて良かった!