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ここから始めよ!ナースのための「スポーツ医学」の勉強

私は新卒のとき内科・耳鼻科(主に悪性腫瘍)の病棟ナースだったのですが、3年目の頃に「スポーツ医学を本気で勉強したい!」と決意し、アメリカに留学してアスレティックトレーニングを学びました。

アメリカのアスレティックトレーナーの資格を取得するためのカリキュラムは常にアップデートされ続けていて、これはほんとに私が言うのも何なのですが(笑)、すごくうまいこと設計されていると思います。

✔︎日本でも筋肉や骨について詳しく勉強したことがない。
✔︎運動生理学がどういう分野なのか知らない。
✔︎「テーピングを巻く」のがどういうことか、見たこともない。
✔︎英語は受験以外で勉強したことがなく、渡米時はTOEFLの基準点をやっとクリアした程度。

こんな状態の"スポーツ医学ど素人"の人間でも、順番に授業と実習を着実にこなしていけば徐々に理解すべきことが見えるようになり、留学開始から2年半後にはちゃんとBOC(アスレティックトレーナーの認定試験)にも合格できました。

とはいえ「スポーツ分野で活動する看護師」になるために、必ずしも全員がアスレティックトレーニングを本格的に勉強する必要は全くないでしょう。

「アスレティックトレーナーとして仕事をする」ためでなく、「看護師としてスポーツにかかわる仕事をする」ことを目的とするのであれば、独学でも基礎を固めることは十分に可能だと思います。

なので、ナースのための「スポーツ医学」勉強のポイントについて、私の見解をシェアしていきます。

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これだけはおさえてきたい!

留学中に学んだことで、その後の看護師としての仕事に生きてるな〜!と特に感じることは、いくつかあります。

筋骨格系の解剖の知識
・スポーツ傷害の発生機序・病態・診断方法・治療の概論
熱中症、脳振盪など看護学でちゃんと習わないこと
・テーピング法
・文献の調べ方

本当はその他にも、スポーツ復帰までのリハビリ、コンディショニング、栄養、薬学、モダリティ、スパインボーディング、etc...大学院では色々なことを学びました。

卒業してから実際に一回も実生活で使ったことがなくても、それらの学びが一概に「仕事に生かされていない」とは言えないのですが、ここでは特に仕事や活動に「直接的に生きていること」という視点でお話します。

そういう点でいうと、個人的には「まず一番に何を勉強しないといけないか」はかなり明確です。

それは、ずばり「解剖(Anatomy)の基礎知識」だと思います。

スポーツに関して今後何を詳しく勉強して深めていくにしても、とにかく一番下の土台となるのは「解剖」。

解剖を知らずして怪我を理解できないし、怪我の評価もできないし、テーピングも、ストレッチも、トレーニング指導もできないですよね。

私は当初、筋肉の「名称」だけでなく「どこからどこに走行しているか?」「そのはたらきは?」とか、そんなことまで全部覚えないといけないなんて思ってもみなくて笑、そんなの当然覚えるものだみたいに言われたときは本当にびっくりしてずっこけそうになりました。

いやいやそんなん全部覚えるの無理やろw みたいな。

それが無理とか言ってる場合じゃなくて本当に必要だったから、まじでやばいですよね。

その先に待ち受ける山の険しさなど何も知らず、無邪気に「スポーツ医学勉強したい〜」とか言ってたかつての自分をぶん殴ってやりたいですw

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「???」しかなかった、初めてのテーピングの授業

渡米した最初のセメスターで、アスレティックトレーニングプログラムに入るために必要な単位(Prerequisite)の授業を履修していたのですが、そのうちのひとつが「Taping & Bracing」でした。

あれ、解剖ちゃうんかい!と思いました?笑

実は「解剖学」という名前の単位は、普通に日本で看護学専攻の大学生をしていたときにすでに持っていたので、もう取る必要がなかったのです。

このテーピングの授業では、後に私の実習でのプリセプターとなるJenが、すんごいラフな感じで

J「(ホワイトボードに向かって)ここはこういう筋肉がある。靭帯はこう走ってる。この動きを制限したい」
J「はい、あなた机に乗って足出しなさい」
J「プレラップ。アンカー。ストリップ。ホースシュー。フィギュアエイトとヒールロック、2回。クロージング。Done!しゅっ(使い切ったテーピングの芯を、その場から3メートルくらい離れた教室の端のゴミ箱に投げる)。イエス!(入った)はい、じゃあ残りの時間はペアになってやってみて

わたし「・・・!!?」

まじでこんな感じだったので、度肝を抜かれました。もう何がなんだかわかりませんでしたね。私は何を見せられているんだろう?え、今から何をすればいいの・・・的な。

そもそも私はそれまでにテーピングとか見たことなくて、テーピングをするということ、そのものの概念を知らなかったのですw

初めての授業だったし、もっと丁寧に教えてくれるものだと思ってたけど本当に雑で、まじでぽかーん・・・って感じでした(これはある意味この先生のせい笑)。

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▲実際の授業中に撮ったムービーがあったので、スクショしてみました。
うわああ、懐かしい・・・!※これはdorsal bridgeのテープ。

まずは主な筋肉と骨を知ることから

このテーピングの授業が理解できなさすぎて(笑)、このままではやばい!と焦った私は、授業が終わった後に勇気を出してこのラフな先生に相談に行きました。

具体的になんて言ったかまでは覚えていませんが、とりあえず「なんか全然ついていけないんでけど、まず何から勉強すればいいですか?」という主旨のことを聞いたと思います。

するとJenは、

まずはAnatomyを覚えなさい。プリントを渡したでしょう?足首の外側にある主な靭帯の名前と場所、それから内側にある靭帯をまずは覚えなさい。テーピングの巻き方をただまねするんじゃなくて、Anatomyをしっかり理解することが大事だよ」

というようなアドバイスをくれました。

それから、『Anatomy Coloring Book』という、色塗りしながら解剖を覚える本を買って勉強しなさいと言われました(そのとき買った本、ちゃんと持って帰ってきました☟)。

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▲このオレンジの色鉛筆持ってる手は、
私の手じゃなくて表紙の一部ですよ

彼女は本っ当ーーーにラフな人なのですが(笑)、親身に学生のことを思ってくれるとてもいい先生だったのです。

このJenのアドバイスをもとに、私の予期せぬ(!?)Anatomy Journeyが突如として幕を開けたのです。

「解剖を勉強するために、解剖を覚える」のはやめておこう

大学1年生のとき看護学専攻の必修として解剖学の授業を取っていたときは、私にとって解剖は「とにかく暗記するもの」でした。

実際に力ずくで覚えないといけない側面もそりゃーあるとは思いますが、アスレティックトレーニングの勉強を始めたばかりの私は、この「テーピングをするために、解剖を理解する」という状況で、本当の意味での解剖学の勉強をスタートできたと思います。

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そもそも解剖がわかっていないと何もその上に載せられない、と先に書きましたが、しかし最初に「解剖を勉強するために、解剖を覚える」というのは非常に非効率であるように思います。

覚えたい理由や知識の使い道が思い描けていないと、ただの「難しい単語の羅列」にしか見えなくて、全然モチベーションがわきませんよね。そのときは気合で覚えられても、すぐ忘れちゃいそう。

なので、もしスポーツ医学を勉強したい看護師さんという状況であれば、今実務でよく扱う/目にしている体の部位の、「筋肉の名前」「起始・停止」「はたらき」からまずは覚えていくのが一番いいと私は思います。

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