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行列式について

行列式detAは、n次の正方行列A = (aij | i,j = 1, 2, ...,n)において、以下のように定義されます。

detA = Σσ sgnσ * a1σ(1)a2σ(2)....anσ(n)

ただし、σ(i)はiに対する置換を示し、sgnσは置換σの偶奇によって変わる符号、およびΣσは定義可能な全ての置換を動くことを示します。

2次元正方行列の場合は、A = ((a,c)T (b,d)T)とすると、detA = ad - bc、3次元正方行列はたすき掛けの公式で導くことが可能です。また、証明は省略しますが、detAT = detAとなります。

上記定義をそのまま書き下すと、行列式では多重線型性、および交代性という2つの性質を持ちます。すなわち、n次正方行列AをA=(aij |i, j = 1, 2, ...,n)として、列ベクトルai = (ai1, ai2, ... , ain)Tの束からなるとすると、

detA = det(a1, a2, ..., ai, ..., an)となりますが、ここでi番目にbiを加えた行列A'を考えると、detA' = det(a1, a2, ..., ai + bi, ..., an) = det(a1, a2, ..., ai, ..., an) + det(a1, a2, ..., bi, ..., an)となります。

また、ある列ベクトルaiを定数c倍した行列A''に関しては、

detA'' = det(a1, a2, ..., cai, ..., an) = c*det(a1, a2, ..., ai, ..., an) = cdetA

となります。上記性質から、c = 0を代入することによって、いずれかのベクトル要素がすべて0の時、行列式の値も0になることが分かります。

そして、交代性に関して、ベクトルのi番目とj番目を逆にした行列A''' = (a1, a2, ..., aj, ..., ai, ...,an)を考えると、

detA''' = -detAとなります。

なお、この性質は転置行列ATに関しても同様に成立します。すなわち、上記性質は行ベクトルの束としての行列に対しても同様に成立します。

また、幾何学的な意味を求めると、行列式の値は、2次元正方行列では原点と、各列ベクトルの示す座標、およびその和のベクトルが示す座標によってなされる平行四辺形の面積に、3次元正方行列の場合は3つの列ベクトルによって張られる平行6面体の体積を示します。各列ベクトルによって張られる平行n次元立体の体積を示しますので、これが0になるということは列ベクトルの中に一致する方向を示すものがあることを示します。すなわち、行列式とは、構成する列ベクトルが互いにどの程度独立であるかを表現する量となります。0である場合は一次独立ではないということです。

また、対角行列に関して、行列式の値は対角要素すべての積になります。

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