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固有値と固有ベクトル

行列とは、左からかけることで列ベクトルを別の列ベクトルに線型変換する機能があります。そのベクトルは、線型変換の結果、一般には方向の変化を受けることになります。ここで、行列Aに対して着目し、Ax = λx(λは任意の定数、xはゼロベクトル以外の任意のベクトル)となるようなベクトルxと定数λが存在した場合、行列Aに対してλとxは特別な意味が発生します。つまり、行列Aによって線形変換を受けた場合においてもそのベクトルxは、ノルムこそ変われどその方向を変えるものではありません。このようなベクトルxとスカラーλをそれぞれ、行列Aの固有値、固有ベクトルと言います。ここは混乱ポイントなので再度述べますが、行列Aに対して固有値、固有ベクトルが定義されます。

さて、固有値および固有ベクトルをいかにして求めるのか、について。Ax = λxから、(A-λI)x = 0を立てる。この方程式は同次連立方程式となっていあmすが、この方程式でxが自明な解以外の解を持つ条件は、A-λIの行列式の値が0となることです(A - λIを構成する各列ベクトルが互いに線型独立であるとすると、x = 0以外の解を持つことが無い)。det(A - λI)= 0は、Aがn次行列である場合はλのn次方程式となります。この方程式が重解を持たないとき、固有値はn個となりますが、それぞれの固有値に対して、固有ベクトルxが求められます。また、固有ベクトルはその方向のみが定まることとなります。従い、kx(kは0を除く任意定数)で表現されるベクトルとして表現されます。

さて、λの解は重解が無い限りn個あるので、これら大きさ順で並べ替えて対角成分にもつ行列Λを定義することが出来ます。さらに、対応する固有ベクトルを列ベクトルに持つ行列Vを作ることが出来ます。すると、

A = VΛV^(-1)

となります。これを、行列Aに対する固有値分解と言います。例えば、A * A = VΛV^(-1)*VΛV^(-1) = VΛ^2V^(-1)、A^n = VΛ^nV^(-1)となり、非常に計算がラクになります。また、行列Aの数学的な特徴を顕著に表現することが出来ます。

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