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小説 溶解(仮)

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溶ける03 探検家02

鮮明な記憶。だが、私のものではない。ここには何もない闇があったはずだった。

幼い感じが抜けきらない、くるくる表情の変わる健康的で純真な若い女の姿が存在しようはずもない。

国中から特に悪質な累犯者を収監した牢獄は、これほど健やかな時間を経た人間がたどり着く場所ではなかった。蛮人か狂人かが社会から切り離される場所がここだ。

遠い昔、遠い遠い昔にそんな若者たちと共にいた過去も私にはあったが、

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溶ける02 探検家01

母の膝でまどろんでいるとーー

ーーもう目覚めなくてもいい。

突然、眩い太陽の下で息も絶え絶えにランニングをしている自分に気づいた。

灼熱の下の眩暈。だが、乾いた風が心地よい、海岸線に植えられたヤシの木々の向こうをカモメが掠めていく。

吸い込まれるように飛翔し、その延長線にモータープールの移動販売車が見える。

「おそーい! 待ちくたびれておなか減ったじゃーん」

「もう食ってんだろ……」

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溶ける01 記憶の宮殿1

どれだけの時間が経ったのか。

いつの日からか、牢を囲む壁の、遥か遠くの高窓から、光が入らなくなった。星の小さな光さえ届かない。

それは看守の私刑だったのか? 私から光さえも奪うことが?

私の犯した罪は、それほど軽蔑されるものなのか。

ああ、笑いが止まらない。

私は、人を喰った。罠に陥れで戯れに殺した。何人も。何十人も。

愉快なゲームだった。ターゲットの情報を集め、行動を予測した。そこへ

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