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法科大学院制度を合法的に廃止させる方法

私が諸悪の根源と決めつけているものの中に、法科大学院制度というものがある。私は予備試験経由なので、ポジショントークなのは否めないが、周りの法科大学院卒の修習生も口をそろえて「ロースクールはゴミ、司法試験受験資格を得るためだけの場所で司法試験の役に全く立たない」と言っていた。

これは考えてみれば当たり前の話で、法科大学院では司法試験の科目以外の勉強もしなければならないし、模擬裁の準備だってある。授業の中身も司法試験とは直接関係のない応用的なものが多い。要は、法科大学院というのは司法試験合格に逆行することをやらされる場なのである。

これだけならまだいい。司法試験の合格にこだわらない学問好きの人が行くのはその人の勝手だ。問題なのは、法曹になるためには、法科大学院に行くことが事実上強制されているということだ。予備試験を受ければいいじゃないかという声もあるが、予備試験の定員は少なく抑えられており、競争も激しいので予備試験を避けて法科大学院を選ぶ人もどうしても出てくる。つまり、「禁錮2年、罰金300万円」か「予備試験合格か」というキツい判断を迫られているのだ。

さらに問題なのは、法科大学院が本流という建前のせいで、予備試験合格者が余計に1年間(ほぼ意味のない)勉強をさせられることだ。しかも今では予備試験にも選択科目が追加されたことから、予備試験と司法試験の差がほぼなくなってきている。というよりむしろ、短答7科目を課せられる予備試験の方が試験としては難しい。であるにもかかわらず、予備試験合格=司法試験合格とはならず、余分に1年間待たないといけない。これは多くの予備試験合格者が感じている不満だろう。

ここまで聞くと、「そもそも何で法科大学院制度が存在するんだ」という疑問が出てくると思うが、そこは闇が深すぎるので、今回は取り上げない。
今回は、そんな法科大学院制度をどうやったらなくせるかを考えていきたい。

結論から言うと、解決策は一つしかない。法曹人気を低下させることである。法科大学院制度の唯一の弱点は、カネである。つまり、入学者数が少なくなると教員を維持できず、破綻に追い込まれてしまうのだ。実際、これまで、数々の弱小ローが入学者減によって閉鎖に追い込まれた。今のところ半数以上の法科大学院が募集停止しており、これは入学者数減という戦略が非常に有効であることを示唆している。このまま入学者数を低下させ、法科大学院の数を減らせば、制度自体の維持が困難になるだろう。

そして、法科大学院に進学する人を減らすには、法曹人気を低下させるのが唯一のソリューションである。先ほど言ったように、予備試験は定員が固定されているため、「予備試験人気を上げて法科大学院人気を下げる」という戦略は決定打にはなりえない。法曹全体の人気が下がれば、必然的に法科大学院進学者は減少する。法曹の人気を下げる方法は簡単で、要するに「食えない」ことをアピールすればよい。このアピールは今までも行われており、一定の成果を上げているといえるだろう。

こうして法曹のデメリットを強調し、法曹志願者を激減させることで、法科大学院制度を廃止に追い込み、司法試験の受験資格をなくし、試験を一本化させるのがこの計画の要である。「こんなことをしてたら法曹の質が劣化するのでは?」という疑問はもっともだが、心配はいらない。これは一時的な措置であり、法科大学院制度が廃止された瞬間に、法曹人気が復活することは確実だからだ。かつての旧司法試験が人気だった理由はシンプルで、(弁護士が高給取りであることに加え)、「誰でも受験できたから」である。


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