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ひとりでできるもん! 秘匿決定申立&本人訴訟(名誉棄損&侮辱)

はじめに

 「裁判って難しそう」・・・そう思われている方が大勢いらっしゃると思います。

 しかし、法的に複雑な訴訟と違って、名誉権侵害(名誉棄損)や名誉感情侵害(侮辱)の損害賠償請求は争点が少ないため、弁護士に委任せずに発信者情報開示請求をやり切れた方であれば、本人訴訟も十分に可能です。

 とはいえ、訴状には被告(加害者側)だけでなく、原告(被害者側)の氏名や住所も記載するのが原則です。

 こちらが被害を受けているのにも関わらず、相手方に個人情報まで開示して訴訟をしなければいけない・・・以前は、相手からの報復を恐れて訴訟を断念する、ということも多々あったそうです。

 しかし、2023年に「秘匿決定申立」という制度が創設され、理由次第では住所や氏名を訴状に記載せずに民事訴訟を提起することが可能になりました。

 本記事は秘匿決定申立で住所や氏名が秘匿されるおおまかな基準と実例、そして本人訴訟の流れを書類の見本つきでご紹介したいと思います。

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秘匿決定申立の決定基準

 秘匿決定申立は「疎明で足りる」とされています。

疎明・・・確信ではなく、確からしいという推測を裁判官に生じさせる当事者の行為。または、これに基づき裁判官が一応の推測を得ている状態。

デジタル大辞泉(小学館)より引用

 つまり、住所氏名が明かされることが「社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある」ことを裁判官に納得してもらえる理由を提示すれば良いのです。

 住所と氏名では、それぞれ秘匿の難易度が変わります。

住所・・・比較的ゆるく秘匿決定が認められる

氏名・・・なかなか秘匿決定が認められない

 現状、裁判所にとっては、「氏名は重要な個人情報ではない」という認識があるようで、氏名の秘匿はなかなか認められないのが現状です。

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