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絵本『もりのなか』の読み聞かせ方について、みなさんの意見を聞きたいです

この文章は、読書イベント「本と、おしゃべりと、」で、参加者の方からいただいた相談について考え、皆さんの意見を求めたいと思って書いています。相談は、マリー・ホール・エッツ『もりのなか』という絵本の楽しさがどうしたら最近の子どもに伝わるか?というものです。
良かったらこの文章を読んでいただいて、ご意見をいただけるとありがたく思います。

※トップの絵は読み聞かせに関連する絵がないかな、と検索してやまもりのこめさんのイラストをお借りしました。ステキなイラストを共有可能にしていただいてありがとうございます♬

1・まずは経緯の説明です

私はフリーランスのライターで、足立区立舎人図書館さんと一緒に読書イベント「本と、おしゃべりと、」を開催しています。
直近の2021年1月24日は、好きな絵本や児童書を持ち寄っていただいて、それぞれの本についておしゃべりする会でした。
その際、ある方がマリー・ホール・エッツ『もりのなか』を紹介され、
お孫さんに読み聞かせしたものの、いまひとつ心に響かなかったという話とともに、どうしたらこの本の楽しさが伝わるのかな?と質問されました。
それに対して明確な答えは示せませんでしたが、参加者の皆さんから読み聞かせの難しさ工夫を聞き、子どもごとに好みがあるという意見も出ました。それでもやっぱり絵本は素晴らしいと思える話がたくさん出て、会の目的である本を通した楽しいおしゃべりはできた、と私自身は納得していました。

しかし数日後、図書館のスタッフさんと打ち合わせた際に、『もりのなか』を紹介された方の相談に何も答えないまま、なんとなく会が終わってしまったのではないか、という不安が沸いてきました。
自分自身は満足したけど、『もりのなか』を紹介された方はもしかしてモヤモヤしたまま帰られたのではないか?
そう思うと、10日も過ぎてからで非常に恐縮ですが、今更に心配になってきました。
そこで、まず図書館に行って『もりのなか』を借り、ぐるぐる何回も読み返し、この本の良さを引き出す読み聞かせの仕方を考えながらこの文章を書いています。

2・『もりのなか』ってどんな絵本?

絵本の内容をそのまま上げるわけにはいかないので、著作権上問題がないように広告の形で表紙を記載します。

『もりのなか』の概要は以下のようなものです。

(往年の名作ですし、結末が見えると楽しめない作品ではないと判断してストーリーを最後まで紹介します。いわゆるネタバレですがご理解ください)


・男の子が森に散歩に行く
・いろいろな動物と出会い、みんなが散歩についてくる
・動物たちとおやつを食べ、いろいろな遊びをして楽しく過ごす
・かくれんぼが始まり、男の子がオニになって動物たちは隠れる
・男の子の父親が迎えに来たことで目を開けると、動物はみんないなくなっている
・男の子は動物たちにまた来ることを宣言して、父親と帰路につく

『もりのなか』を読んで、私は以下のような感想を持ちました。
動物たちがどんどん増えていくこと、みんなで食べたり遊んだりする場面が楽しい
・動物たちの登場の仕方や、それぞれが持っている小物が楽しい
穏やかな絵柄がなごむ、細かい書き込みが面白い
・父親の登場で動物たちは消えるが、その前にかくれんぼをしている構成がうまい
・男の子の空想なのか、ファンタジックな話なのか考える楽しさがある
など、いろいろな楽しさを持つ作品と感じました。大きなインパクトで押す内容ではなく静かな絵本なので、寝かしつけにも良いかもしれません。

ところが前述の参加者の方は、お孫さんの心に響かなかったうえに、娘さん(お孫さんのお母さん)からは「結局なにが言いたい本なの?」という厳しい反応があったとのことで、家族の会話を想像すると非常に切なくなります。

3・『もりのなか』はなぜ相談者の家族には響かなかったのだろう?

『もりのなか』はアメリカで1944年に刊行されていて、日本語翻訳版は1963年発行です。そのため、この記事を書いている2021年には、初出から77年、日本語版発行から58年が経過しています。
これだけの年数を経ていまだに愛されている作品ですから、名作と呼ばれるに値することは間違いないでしょう。

その一方で、
・色が少なくちょっと地味💦
・最後のページ、キャラクターがいない森の描写が寂しいと感じる💦
・結末がふわっとしているので、スッキリ感や笑いは残らない💦
などのネガティブな感想があることは想像できます。

正直、50歳を超える私が地味と感じる本作を、商業性にあふれた演出過剰な動画やゲームに慣れた昨今の幼児が馴染みにくいと感じるのは、ある程度仕方ないでしょう。
私自身も子どものころ『モチモチの木』の絵柄には今一つ馴染めなかった記憶もありますから、後世に残る名作でも、誰にでも楽しいとは限りません。
そのため、「自分が好きな作品だから感動して!」と押し付けると余計に嫌になるばかりか、信頼関係も壊してしまう可能性もあります。

その一方で、自分が好きな作品が家族に共有されたらうれしい、という相談された方の思いも大事にしたい気持ちもあります。

このような点を踏まえて、ここからは押し付けすぎないゆるい目線で、子どもが本作に親しみやすくなる工夫を考えたいと思います。

4・『もりのなか』の楽しさを倍増する工夫やアイデアを並べてみる

この項目では、『もりのなか』の楽しさを引き出せる工夫を考えていきます。

4-1 ネット上の読み聞かせ動画を使ってみる
YouTubeで『もりのなか』の読み聞かせ動画があったので、これを見せて慣れてもらう、という案です。

始まりと終わりにBGMがあって馴染みやすく、ページをめくる動きもあるので、デジタルネイティブである子どもたちにもなじみやすいのではないかと思います。

4-2 動物の鳴き声を口真似して読み聞かせに入れてみる

本作にはたくさんの動物が出てくるので、鳴き声を一緒に考えながら絵本に親しむ手もあります。
ライオンやクマは一般的にガオーっなどの勇ましい鳴き声のイメージがありますが、カンガルーやコウノトリってどんな声?と想像するだけで楽しいのではないでしょうか?

ちなみにカンガルーはこんな感じだそうです。

カンガルーってこんな声なんだ…(・□・;)
動物園で見たことあるけど、全然イメージと違いました。今、私は素直に驚いてます💦

さらに、検索してみるとコウノトリは子どもの時以外鳴かない!という衝撃の事実もわかりました。
それではコミュニケーションはどうしているのかというと、クラッタリングというくちばしをカスタネットのように連打する音で、あいさつや求愛、威嚇などもするのだそうです。

画像はこちら

思いがけず動物の生態に触れて、自分が楽しんでしまいました( ´∀` )

ここまで動画頼みになってしまい、絵本自体の魅力を伝えたい人には抵抗があるかもしれませんので、この先は動画情報を使わずに行ってみます。

4-3 子どもが好むように内容を変えてみる
家庭で楽しむだけなら読み聞かせるとき内容を変えても良いと思います。
例えば、「ぼく」を子どもの名前に変える、クマが持っている食べ物を好きなものに変える、後半に登場する「はんかちおとし」「ろんどんばしおちた」を子どもが今親しんでいる遊びに変えるなど、読むときごとに変化をつけると面白いかもしれません。
いっそラストの部分、「みんなまっててね」という「ぼく」に、動物が答えるシーンを創作してみる手もあるでしょう。

内容を変えること自体を子どもと一緒に楽しむことも、コミュニケーションの一環になって楽しいと思います。

4-4 コピーして色を付けてみる
絵本の楽しみ方としてはかなり邪道かもしれません💦 しかし、『もりのなか』は白と黒の二色で構成されていて、背景の森が黒いだけにキャラクターはほとんど白いですから、塗り絵に最適です。ゾウやクマは何色かと考えるのもいいし、ジャムは赤で塗ったらイチゴだけど紫で塗ったらブルーベリーになるなどの工夫も楽しいです。
(子どもが本自体に色を塗らないように気を付けてくださいね)

4-5 同じ作者の他の作品を読み聞かせしてみる
マリー・ホール・エッツはいくつもの絵本を書いています。その中でも『わたしとあそんで』はカラー作品ですしハッピーエンドなので、子どもにとって馴染みやすいでしょう。こちらで興味を持ってくれたら、同じ人が書いた本として関心を示してもらえるのではないでしょうか?

5・他にも方法があったらぜひ教えてください

『もりのなか』を楽しむための方法をいくつか書いてみました。
正直なところ、私自身は自分の子どもへの読み聞かせ体験はあるものの、多くの子どもに対して読み聞かせをした経験はありません。そのため、ここにあげた以外にも、子どもが絵本に親しめる方法があるのではないかと思います。
こんな手もあるよ、と教えていただければ、「本と、おしゃべりと、」を共同開催している舎人図書館を通じて、相談された方にフィードバックできるのではないかと思います。
なにか知恵がある方、コメントを寄せていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。


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