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web3で地方創生は可能?NFT購入者の視点で考えてみた

いま、ふるさと納税とともに、地方を盛り上げる手段として格好の注目を浴びているものがあります。それは地域独自のNFT販売です!

資金集めとしてだけではなく、NFT購入者とDiscordでコミュニティ作ることで、ダイレクトに地域の生の情報を届け、今までリーチできなかった層にファンを作れるのが魅力。新潟県の山古志村を筆頭に、NFTで「関係人口」を創出する市町村が増えてきました。

とはいえ、一般的にNFTはほとんど浸透していないため、NFTが呼び水になるかはまだまだ未知数です。ほんとうに、web3で地方創生は可能なのでしょうか??今回は、地方とweb3の事例の紹介と、どんなポイントでweb3プロジェクトに興味を持つのか、自分なりの見解をまとめてみました。

地方 x web3の事例は?

山古志NFTプロジェクト

新潟県長岡市の住民グループ「山古志住民会議」は、地元で養殖が盛んな、にしきごいをデザインしたデジタルアート作品にNFTの技術を活用し、2021年から販売。住民グループは売り上げの一部を使って、アート作品を購入した人と地元の人との交流イベントをデジタル空間で開催しています。
そしてNFTでひもづけられた購入者から新しい地域活性化のアイデアを募り、町おこしにつなげることを目指しています。
https://nishikigoi.on.fleek.co/

遠野DAO

岩手県遠野市は、岩手県遠野市のふるさと納税の返礼品として、神話と現実がリンクする参加型NFTコレクション「Game of the Lotus 遠野幻蓮譚(略称: GOTL)」の提供を10月に開始。物語の舞台となる岩手県遠野市の観光施設や飲食店などを訪問してチェックインすることで、Game of the Lotusのアイテムを入手できる機能を搭載しています。舞台となる遠野市を訪れることでアイテムを入手でき、ふるさと納税を寄付した後も地域との関係性を継続できるという、NFTを活用した新たな形の地域振興の手法を提供しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000927.000026811.html

紫波町ふるさとDAO

岩手県紫波町の熊谷泉町長が「Web3タウン」の計画を6月に発表。地域活性化に欠かせないことの1つは多様な人材であるとし、岩手県紫波町は国内のみならず、海外も含めた多様な人材にまちづくりへの参加を可能にするため「DAO(自律分散型組織)」を設立していくとのことです。仮称として「Frusato DAO」と名付けられています。
https://www.town.shiwa.iwate.jp/material/files/group/26/web3town_shiwa-iwate_doc_20220610.pdf

三島ウィスキープロジェクト

「三島限定Whiskey」等の地域ブランドを創る「プロセス」への参画を通じた、関係人口の創出・拡大を狙い立ち上がったプロジェクト。地域限定商品の企画・製造・販売における各プロセスにweb3を導入することで、国内外からの参画を生み出し、三島市民とつながるコミュニティづくりや、データ活用も可能にします。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000087270.html

地方 x web3での重要ポイント

上記はほんの一例で、秋田兵庫北海道などその他いろんな地域でweb3プロジェクトは広がっているようです。さまざまな切り口で展開できるので、今後も増えていきそうですね。

いくつかNFTを購入してみたのですが、自分はどこを見て興味を持ったのかな…と少し客観的に考えてみました。一般的な「いちユーザ」としての意見ですが、簡単にまとめてみました。

ポイント1:NFTのデザインが良いかどうか

地域のweb3事業のさきがけとなった山古志のNFTプロジェクト。そのストーリーやコンセプトも素晴らしかったですが、強烈だったのはNFTのデザイン性の高さです。淡く繊細でゆらゆらと泳ぐ錦鯉のNFTは、今までのNFTのイメージを覆しました。

購入したNishikigoi NFT

地域のプロジェクトかどうかの前に、販売するNFTのデザインがかっこいいかどうか、これはもう大前提のポイントだと思います。

後々のブランディングにも関わることなので、オリジナリティのある素敵なNFTなのかはとても大事ですよね。

ポイント2:住民・デジタル住民、双方にとってwin-winなプロジェクトか


web3プロジェクトが、住民とデジタル住民(NFT購入者)にとって、メリットあるものなのかも気になるポイントです。

上記で挙げた事例のひとつ、遠野DAOでは、現地のお店にチェックインするとNFTを貰えるという特典があります。NFT購入者にとっては色んなお店に知り合えるチャンスであり、現地の住民の方にとっては新しい顧客も獲得できる、どちらにとっても良さそうですね。

一方、よくあるのがNFT購入者に与えられる「DAOの投票権」という特典です。「DAO=自律・分散=全メンバーがガバナンスに参加」という図式から、NFTホルダーが投票権を持つのはある意味自然の流れなのでしょうが、訪れたことのない地域に対しまだ情報も意見も持ち合わせていない状態で投票権がもらえるといっても、正直ピンときません。

それに、住民の方は、NFTを買っただけの人の意見が反映されることはどう思っておられるのか。web3プロジェクトに対しての住民の方の率直な意見が気になります

web3の取り組みはまだ始まったばかりで、成功するかどうかはまだわかりませんが、少なくとも「住んでいる人」と「住んでいない人」双方にとって利点がないと持続できないでしょう。お互いがオープンに混ざり合って、居心地の良い空間が作れるかどうかが重要なのかな、と思いました。


ポイント3:現地に足を運びたくなるような「きっかけ」があるか


地域が発行しているNFTを買うと、それまで知らなかった地域でも、がぜん興味が湧いてきます。ここに訪れたら、どんな出会いがあるのかな?そんな思いを持ちながら、Discordの中身をのぞきます。

そもそも、どういうきっかけで、現地に足を運びたくなるのでしょう?

甘いものが好きで食いしん坊の自分の場合は、ネットやインスタで「早朝2時間で売り切れる豆大福があるよ」とか「名店の味を受け継いだ銅板パンケーキが美味しい」とかの情報を見ると、うわぁ絶対行きたい!ってなります。これを例えばJazz好きな人に置き換えると、「あの名盤が聞ける数少ないJazz喫茶」とか「他では買えないレコード屋」とか見たら、速攻行きたいと思うのかもしれません。

そこに行きたい!と思うきっかけは、かなり具体的でピンポイントです。自分や家族が興味持っている分野にタイミングよく現地の情報がガチッとあてはまると、行きたいスイッチが入ります。

そういう意味でいうと、静岡県の三島のプロジェクトは「ウイスキー」という具体的なモノがあるので、具体的で、現地に行く目的もわかりやすいですね。

また、山古志のプロジェクトでは、「山古志デジタル村民総選挙」を実施して地域を盛り上げるプロジェクトに予算をつけたり、メタバース内に山古志を再現したり、数々の取り組みが実施され、それと同時に村を訪れる人も増えているようです。<こちら


参加したメンバーが主体的に活動できるか


と、上記3点にまとめましたが、NFTを購入する際に買う側の主体的な意識もとても重要です。

web3のサービスやコミュニティが特徴的なのは、購入した人は単なる「お客さん」ではないということです。サービスを受けるだけの存在ではなく、コミュニティで貢献することで、トークンを手にすることができ、一緒にサービスを盛り上げる存在にもなることができます。

そう考えると、地域のweb3プロジェクトが成功できるかどうかは、NFTを購入したデジタル住民が主体的に関わり、コミュニティを盛り上げてくれるコアメンバーがどれだけ増えるかどうかにかかっているところもあります。

そのため、サービス提供者側としては、「購入してもらったあとに何をしてもらいたいのか」を設計し、デジタル住民と一緒にコミュニティを作り上げる余地を用意しておいたほうが良さそうです。そしてNFTを購入するほうも、一緒に地域を盛り上げる意識でいると、新しい出会いが増えてコミュニティ内での楽しみが広がりますね。

2022年は、地域のweb3プロジェクトの黎明期。来年もおそらく多くのプロジェクトが立ち上がるでしょう。引き続き、ウォッチしていきたいと思います!


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