日本とブラジルのジェンダー問題を考える
ニュースでよく取り上げられるトピックの一つにジェンダー問題があります。スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が発表した2024年の統計を見ると、日本は146か国中118位、ブラジルは70位となっています。経済、教育、健康、政治の分野において男女間での平等さを測った指数だそうです。
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2024.pdf
ここではジェンダー問題について、ブラジルで14年住んでみて思うことを書いてみようと思います。
女性の管理職や専門職での比率
日本での企業内での管理職や医師、弁護士、裁判官などの専門職に就いている女性はまだ少ないのではないでしょうか。厚労省の令和2年のデータでは女性医師は全体の22.8%だそうです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/dl/R02_kekka-1.pdf
一方ブラジルでは女性比率は半分を超えているようです。
肌感覚でも、ブラジルでは女性の医師が多いなと思っていましたが、データを見ても正しいということが分かりました。大学医学部でもクラスの半分以上が女性だとのことです。
その他、弁護士、裁判官、エンジニア、また社長や校長など日本では男性のイメージが強い分野でもブラジルでは女性が多いと感じています。
女性が働く環境
ブラジルでは専門職や管理職に就いている女性は、結婚や出産を機に辞めるというのは少ないです。産休や有休も保証されていますし、時短もしやすいからです。それに、家事や子守りの外注がしやすいことが日本と違うところだと思います。共働き家庭ではお手伝いさんを雇う人が多く、ベビーシッターを雇う人も少なくありません。私もフルタイムで働いているので、家の掃除とアイロンがけはお手伝いさんにしてもらっています。
面白いなと思うのは、日本では3歳、あるいは就学前までは母親が家で子育てに専念するという考え方が強いのに対し、ブラジルでは逆のような感じがしています。つまり、子供が小学生以上になってからのほうが母親が家にいる時間が多くなる、ということです。学校や習い事の送り迎えが増えるのと、子供の交友関係が広がるので、子供だけで家にいるのは良くないということです。ちなみに、日本のように子供一人で公共交通機関を使って学校や習い事に通うことは稀です。
夫の協力
結婚生活で、女性が働き続ける上で大切なポイントは夫の協力だと思います。ブラジルの男性は実に家事、育児を手伝う人が多いです。町でもベビーカーを押して散歩する男性をよく見かけます。私のブラジル人の義理の兄弟姉妹夫婦を見ていても、赤ちゃんのお風呂の世話、おむつ替え、買い物など夫がほとんどしてる?と思うぐらい育児に参加しています。
どうしてこのように夫が家事、育児に多くの時間を使うことができるのでしょうか。それは、労働環境が日本と違うからだと思います。男女共、一般的に勤務時間は午前8時から午後6時、土日は休みをしっかり取り、有給も100%確保されています。前述のように、家事や育児をお手伝いさんに手伝ってもらうことも一般的です。
ブラジルでは、土日や祝日は家族で過ごすのが一般的です。家でゆっくりしたり、誕生日会に家族で出席したり。また教会に行ったり、スポーツイベントなどに参加するなどする人も多いです。これも大体家族単位です。
マチズモの国
ここまでの内容は、ブラジルでの女性の働く環境が日本よりいいのではないか、というものでした。でも影の部分もあります。それは、ブラジルはとてもマチズモ(男性優位)の意識が強いということです。その良い部分ではレディーファーストが徹底されていて、女性として嬉しく思うことが多いです。これは日本ではあまり感じることができないですね。
その反面、ドメスティックバイオレンスの多いこと。夫婦間はもちろん恋人関係でもよくあります。ニュースでもしょっちゅう取り上げられます。
まとめ
日本とブラジルのジェンダー問題をまとめると、ブラジルのほうが女性にとって働きやすい環境が多いと実感しています。ただ、マチズモの意識が強い国なので、ブラジルでは、男性の暴力の被害に遭っている女性のニュースを日本よりよく見る気がしています。
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