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プールへ行く

この2年、コロナ禍でプールに行っていない。
ネットで調べてみると、プール自体は塩素が添加されていて感染リスクは低く、どちらかというと人が密集しがちな更衣室の方がリスクがあるらしい。
思い切って子供を連れてプールに行くことにした。

更衣室ではマスクである。シャワールームは感染防止対策で使用不可。屋外のシャワーは使える。有料席は、席と席の間にビニールシートが固定されている。

天気が良く、たくさんの家族連れが思い思いにプールを楽しんでいる。
水に入るので、みんなマスクをしていない。
マスクをしていない人々を見るのは久しぶりで、これが3年前までは当たり前だったんだなぁ、と思うと感慨深い。

プールが大好きな子供は、ずうっとニコニコして水に浸かっている。
去年は、プールに行きたいと言うのを、リスクが分からないからと行かせなかったので、念願叶ってのプールである。赤ん坊の頃と同じ笑い方で笑う。
子供の、こんなに純粋な笑顔を見るのは久しぶりな気がして、楽園にいる心地がする。

プールの水は日差しで温んでいるが、上がると風の冷たさを感じる。日差しの強さが冷えた身体にはありがたい。水着から水が滴り落ち、足元に水溜りを作った。大きな蟻が白いプラスチックテーブルの上を這う。どこからともなく蜜蜂に似た虫が飛んできて、スマホに留まった。

ステージでフラガール達が踊り、人々が拍手する。幼い子供が音楽に合わせて踊り出し、母親は微笑んでその様子を見守る。

空は青く、木々の緑は濃い。子供たちの歓声がBGMに混ざる。

ここは、楽園なのだった。


補足 このプールには、ホテルが隣接しており、直通通路がある。プールのあとはゲートで日帰り入浴代を支払って、ホテルの大浴場に寄る。露天風呂もあり、山の緑が迫ってくる。ひぐらしの鳴き声を聴きながら熱い湯にぼーっと浸かる。
しみじみと、幸せ。

#エッセイ

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