詩 夏風邪の熱に恋を思い出す
唸る風のような夜に
朝日の匂いを思い出す
星は遠くへ落ち延びて
今の私は徒競走
一度夢に心を許せば
大きなあなたは私を殺す
時に感じて花を伏し目がちに見れば
氷が蕩けるよう
私はきっと恥に愛された犬の後ろ足
声には出さない黒子の一部の色を落とすだけの馬
いっそ付き合っちゃおうなんて
小声で囁かれたまま意味を失って
今日は私
綿毛になって空を
舞う嵐の夜の静けさとなる
心の静けさとなる
大きな静けさとなる
向き合ったままで手を取って
夏風邪の熱に恋を思い出す
夏風邪の熱に恋を思い出す
雪屋双喜
2023.5.6
愛に夏は似合わない
人は暗闇の中に海月のように浮かんで生きて
その暗い海の中で手を伸ばす
自分の外側を拡張するために
感覚の外の大きな液体に溺れるために
だから愛に夏は似合わないんです
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