短歌

1、紅をさし神戸へ向かう先輩のうしろ姿を目で追うばかり

2、春ばかりの木陰に座り雨宿り枝垂れ持ちたる傘のあやうさ

3、さくらさく言われて見上げた空の上雲が高く白く浮かんだ

4、うわずった声が寂しく響くから「午前八時」をちょこっと嫌う

5、田舎より送ってくれた筍の蜻蛉の色を光にあてる

6、満天下歌う枝々舞う雫通りに覗く春の陽光

7、マグカップのふちについた嚙み痕をなぞる朝カーテンを見て窓に近づく

8、心根が腐ってきた春。春眠は今ようようと舟を漕ぎだす

9、えんぴつを尖らせてみた部屋の隅春を切り裂くひらがなの音


雪屋双喜 2023.4.11
春に添えて


上のうち
4番「うわずった」、6番「満天下」、8番「心根が」
の三首をライッラク杯短歌部門に応募しようと思います。

作法も考えず勢いだけで詠みました。
後で見返し、恥じるのだろうか。

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