祈り

誰がために祈る
美しきその人に触れる夏の日
降る啼音がしばし遠のいた

誰がために訪れる
饒舌なその人が寡黙になる意味を知る盆の入り
墓までの坂が日常を拒絶する

誰がために祈る
隔絶したその人と目線を合わせるいつか
暗闇に伸ばした指先は確かに触れた

2023.8.14 祈り
雪屋双喜

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