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詩 #46

暗闇の中で心が動く音がする
ことり、と「初めまして」を聞く

東京の街を後ろ向きに歩く
耳に刺したイヤホンジャックの向こう側に
誰がこの声を聴くだろうか

映画館の一人分のシート
流れ始めたアニメーション
周りにこのフィルムを見てる人はいない

吐き気は喉の奥で
悲しみと怒りと鼻の奥にツンとくる臭いとに
混ざりに混ざって分からなくなる

東京の街を後ろ向きに歩く
左右逆でも構わない生き方

迷うことも肯定できない
戸惑うことも認められない
立ち止まって後ろ向いて走り出す自分
フライングしないようにって観客|客観

寝転がって空見上げる
夜も気が付かないうちに失くすんだ
必要ないなら「無くていい」
そう言った奴の顔は見たのか

色を見せない作品の溢れる世間になんか
面白いと言える世界になんかさっさと変えようぜ

ことり、と「呟いて」を言う
暗闇の中で心が動く音を待ってる
自分の声も木霊して他人のそれと同じように日々、く


2022.6.29 ことり 雪屋双喜
悲しみと怒りは不快から
所詮全部は退屈よりマシ

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