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詩 #50 はなむけ

抒情詩と散文の空間
白と黒の世界で迷った言葉

今までの感謝をこれから先
どこまで連れていけるだろうか

夢と胡蝶の夢
偶成と諦念の衝動

水がある
心の中に月を写す鏡がある

死と愛情の熱
切っ先に宿る同情と価値の放棄の定義された悲しみ

降る雪がやがて花となる
内と外とが侵しあったまま消えて
不完全な自意識がただ

静かな夜と夏の蝉
冬蜂は闇に見惚れる

星の中で砕けたガラスが今私に言葉をもたらす
何時しか消えゆく欠如した私が
感覚の外の液体を少しずつ
少しずつ

そっと伸ばした指先が
今も何かに届いている

そのことを
自分と呼ぶ


2023.6.1
はなむけ 雪屋双喜

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