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詩 #24

コップに水が一杯入っている
それらは互いに透明で
触れあって初めて互いを知らせる

私はそれに口をつけ
透明を味わい喉を潤し
自らの罪を初めて知るのだ

夜の東京に
ぷくっとした月が
忘れ物のように浮いている

私はそれに口をつけ
光を味わい腹を満たし
自らの前世を初めて知るのだ

兄弟を殺した
空も海も陸も
愛しき家族を

私はそれに踏み入って
街を築き街を喰らい
自らの欲を初めて知るのだ

コップに水が一杯入っている
それは私が零した涙
触れあって初めて私を知る

夜の風が頬を打つ
遠い星が私を見つめる

ぱっぱっぱっ


2022.1.17

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