見出し画像

詩 #18

色鉛筆を紙に転がした
見たことも使ったこともない色が
白を汚した

原稿用紙を渡されて書けというから書いた
見たことも使ったこともない言葉が
白を汚した

降る雪は いと貞潔に

窓の外の寒さを
家の中で書き連ねる
扉はいつの間にか軋まなくなっていた

さらさら ふつふつ はわはわ

降り行く雪は 積り また積り
溶ける前に また積り

言葉にするよりも先に
この白を愛しく抱きしめる
どうか許してくれ

雪はまだだれにも染まらずに流れ落ちる。
椿が一つ、そこに浮かんでいる。
胸のあたりが騒がしい。

戸を閉てて寝る
そこには太郎も次郎も もういなくて
ただ 醜いわたくしがあるだけで
静かに溶け逝く


2021.12.27


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?