見出し画像

詩 掌

この両の手の上に
波の運んだ光の跡と
朝顔の葉の涙とを載せ

祈りを

合わせてしまえば心の底の
他人の足の砂を均し
一重に目見ゆる花の青

緑を散らせ
地を糧として
今生きるこの世界を

愛を

誓うよりも確かにと
箒の先を撫でる心地で
風を撫でる

この両の手の上に
命を載せ
感謝にも似た

祈りを

ふと目を細くして
忘れた友の名を囀る
やっと来たね

さあ
逝こうか

掌の上の幸いを
散らさぬようにと
手を合わす

2022.8.29 掌
瞳を閉じた横顔がまるで祈るやうではないですか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?