望郷

遠くにいる人
食べかけの氷菓

道の先の明かり
朝の雨に照る紫陽花の葉

幼い嘘
赤らむ頬

嘘の上に成り立つ会話
信頼の居心地の良さ

夏風
クーラーの効かない部室での会話

見つめ合う数瞬の後
笑い合える繋がり

待つ人
わかっていても待つ人

遠くへ行く人
秋風

心が荒むほどの夕焼け
真昼の月

いつもよりも重い自転車
空間を埋める水

冬風
君

雪の冷たさ
冬の静けさ

張り詰めた糸の微かな震え
布団の中の数十分

孤独
旅立ち

帰らぬ人
行き交う人の波の中

春風
香り

花
空

２０２３．６．１４　　望郷

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