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BtoBのインハウスエディターが「導入事例動画」制作に関わる時の流れ

SmartHR入社後にチャレンジしたかったことの1つ、「導入事例動画」ができました。普段お客さまの声を聞き、事例記事として文字にするなかで、「この様子を動画で伝えられたら……」と思ったことが多々ありました。

私は動画のプロではありませんので、動画そのものの編集には関わっていません。ですが、これまで事例記事を制作した担当者として、どのように導入事例動画の制作を提案し、どう関わったのか、その流れを残してみたいと思います。

こちらが制作に関わった導入事例動画です。弊社動画制作のプロフェッショナル @meraponさんが進めてくださいました!

※ここでの「編集担当」とは、普段記事コンテンツやeBookなどを作成する担当のことです。

導入事例動画制作の流れ

▷動画制作の流れ〜当日まで

まずは動画制作のために、取材先を選定し、お客さまに打診、当日を迎えるまでの流れをご紹介します。個人的にはここがとても重要で、難しいところかもしれません。

▷▷ご依頼企業の選定

動画が見込み顧客の熱量を高める(行動変容を起こす)よう、内容にこだわるのもちろんですが、見てもらう機会が少ないともったいない。「商談で活用していただけるには、どんなお客さまの事例がよいだろうか」そこから考えました。

※私は「過去に導入事例取材を実施した顧客」から選定するのがベターだと思います。その理由はのちほど記載します。

まずは以下の2点から、より多くの商談で活用していただける顧客のカテゴリを検討しました。

・商談数が多い「業種」
・商談で顧客からよく聞く「課題」

ただ、これでは「すでに受注率も高いカテゴリ」の動画ができてしまうかもしれないので、社内でどんな事例が求められているのか、Slackを確認したり、アンケート調査したり、セールス担当の方に聞いたりしていました。

調査した結果、「IT化の推進がまだこれからな企業」や、「従業員の多数がITを苦手としている企業」などへの提案コンテンツとして動画があると良さそうだとわかりました。

※今回はこのような視点で選定しましたが、どのような動画を作るのかは、各企業によって異なると思います。(知名度のある企業の動画でまずは信頼感を得たいとか、一番サクセスにつながる活用を徹底してくれている企業の動画で効果のイメージをもたせたいとか。)

で、ここで、「過去に導入事例取材を実施した顧客」から選定するのがベターだと思う理由です。

動画ですので、当然撮影しますし、カメラに向かって話してもらう必要があります。お話しするのが得意な方、苦手な方がいますので、そこを把握せずにいきなり依頼してしまうと、撮影時にお客さまにとても負担がかかってしまいます。(こちらで事前に質問項目をお渡ししても、「撮影」となると緊張しますよね。)

せっかくの動画、お客さまにとっても良いコンテンツにしたいです。撮影でも長い時間拘束してしまうことになるので、お客さまにとって「協力してよかった」と思ってもらえるものにしなければなりません。

そのため、先に通常の導入事例取材を実施し、リラックスして話してもらえる関係ができていると良いなと思っています。基本的には事例取材のときと同じ話をすればよいので、負担も少なくなります。
……という意味では、事例取材に限らず、ユーザー会やセミナー登壇実績から打診先を検討してもいいかもしれないですね。

※SmartHRでいうと、まさにサーキュレーションマーケティングユニットの強みが生きるところです。

▷▷依頼前のチェックポイント

導入事例動画のご協力を相談する前に、ほかにも気をつけたいポイントがあります。

1.オフィス(店舗)の雰囲気や外観など、動画で業種のイメージがわくかどうか

撮影場所があるかどうか、お客さまの会社の雰囲気が伝わるか、どんな場所で撮影できそうかを事前に調べます。
今回制作した動画では、お客さまが多数の事業を展開していましたので、「どこで撮影させていただくと良さそうか」「複数撮影スポットがある場合の移動時間はどうか」などを事前にGoogle Mapsで調べたうえでご相談しました。

2.担当者、決裁者、活用する従業員の3者に出演いただけるかどうか

導入事例動画では、通常のインタビューと違い、複数人に登場いただきやすくなります。事例記事ですと2名くらいがベターですが、動画であれば3人〜4人出演できます。実際に使う方が担当者だけでない場合は、関わる方になるべく出てもらう方が良いでしょう。
SmartHRは従業員も操作しますので、「従業員の声」として出演いただける方がいらっしゃるかも相談しました。

3.動画作成後のマーケティング活用に協力いただけるかどうか

導入事例動画はクローズドな場での活用に留まらず、YouTubeで公開したり、展示会で見せたりと、活用の幅が広いです。事前に活用範囲などについて了承をいただけるとよいでしょう。合意書などの書面を用意しておくとスムーズです。

ここまでは正式依頼ではなく、「動画作成するとしたら、ご協力いただけますか?」という事前のご相談です。

▷▷導入事例動画制作のための社内調整

動画制作は自分だけではできませんので、関係する部署の方を巻き込んで「動画制作したいです」とお伝えし、打ち合わせを実施します。

社内で関わる方への相談を進め、およその予算が分かったら社内で予算申請などが必要になります。外部の制作会社が関係する場合は、先方のスケジュール調整も必要になります。ここらへんは目に見えませんが結構立ち回りが難しいですね。

▷▷導入事例動画出演の打診

導入事例動画制作のOKが社内で得られたら、お客さまに正式に打診します。この際、簡単な企画書や依頼書を添付します。制作に合意いただけたら、合意書などを締結します。

▷▷当日の香盤表や質問案の作成

外部の制作会社さんと協力する場合、進行を引き継ぎます。ただ、「何を質問するか」は編集担当が必ず関わりましょう。
経営者、担当者、従業員、それぞれ何を聞き、どんなことを話してもらえるとよいか、業種や課題、活用方法によって異なるため、事前に固めておきます。

動画であれこれたくさん話しても、実際の動画の長さは数分くらいです。たくさん使えるわけではないため、あまり複雑な質問を用意する必要はないと思います。(当日の質問案は事前にお客さまに送付しますが、その際、事例記事に出てくださっていたので、回答例を貼ったうえでお送りしました。)

※実際の質問内容は、導入の背景や課題、導入の決め手、導入後の変化、今後について……など、お一人あたり数問程度でした。

問題なければ、当日を迎えるのみです……!

▷導入事例動画制作の流れ〜当日

当日の編集担当の役割は、お客さまがリラックスし、楽しくお話ししてもらうように心がけることだけです。

▷▷当日に心がけたいこと

1.お客さまがリラックスできるようにすること、疲れないよう気を配ること

機材にもよりますが、部屋の明るさを見てどこで撮影するかを決めたり、機材をセットしたりする時間は結構かかります。その間お客さまを待たせることになる場合は、「準備できたらお呼びします」と執務室などでお待ちいただくのがいいですね。(お客さまが立ちっぱなしになっていたら、座っていただくよう促すと良いと思います。)

2.撮影時はオーバーリアクションすること

撮影中は、カメラを向けられているのでお客さまは一定の方向を見て視界が固定されています。「これで大丈夫かな?」と話しながら不安になるので、カメラ近くでめっちゃ頷くなど、オーバーリアクションするといいかなと思います。

3.撮影に関わらない従業員の方の迷惑にならないようにすること

周りに従業員の方がいる場合は、ご迷惑にならないよう気を配る必要があります。撮影上デスクや椅子などを動かすこともあるため、戻す時はキレイに、動かす時は丁寧に対応します。
騒がしくしてしまった場合は、撤収時にお詫びとお礼を一言添えます。

▷導入事例動画制作の流れ〜撮影後

まずはお客さまにお礼のメールを送信。今後のおおまかなスケジュールをお伝えしておきましょう。動画がある程度形になった段階で、お客さまに確認を依頼します。

▷▷動画の確認と修正

できた動画のチェックをします。お客さまには主に以下をご確認いただきます。

・話している内容にまずい内容がないか
・写るとまずいものがないか
・表示していい正しいお名前と肩書きになっているか

社内では以下の視点でチェックします。

・セリフ内で想定外の受け取り方をされる可能性はないか?
・「アレ」「ソレ」と話している内容で注釈が必要な箇所はないか?
・テロップの誤字脱字はないか?

たとえば「サポート」という言葉1つでどういったサポートを想像されるのか、サービスへの期待値が変わる可能性もあります。

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また、耳で聞く内容をそのままテロップにすると、文字が画面いっぱいに広がり、読みづらくなることも。耳で聞く内容と目で見るテロップがいい感じに一致するいい塩梅を見つけるのは、結構難しい作業だなと感じました。
こういったやりとりを重ねながら編集を続けます。(編集するのは私ではないのですが。)

▷導入事例動画完成!公開

まとまったらお客さまに報告。問題なければ公開し、社内外に発信します。

公開はYoutubeにて実施。Youtube上の概要文章やタイトル、サムネイルも他の動画とトンマナを合わせたり、どんな方に観ていただきたいかを意識して作成します。コメントはオフにしておくのがオススメです。(お客さまに対する何かネガティブなコメントがあってはいけないので)

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お客さまの成果を、この動画を通して知ってもらえる機会になるといいな……。

▷▷(おまけ)社内には、公開までに情報を小出ししてみる

で、いきなりどーんと社内にシェアする前に、撮影前、撮影時、作成中の過程を小出しにしておくと社内の皆さんもワクワクしてよいかもしれません。また、別の視点でアドバイスがもらえることも。

撮影当日は撮影風景を写真に撮って社内にシェアしていました。動画の撮影と編集って、魔法みたいですけどめちゃ大変ですし。

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今回ご協力いただいた遠山産業さまとのエピソード

ちなみに、今回ご協力いただいた遠山産業さまは布団を製造する「すやみん工房」だけでなく、ゴルフセンターや餃子持ち帰り専門店、自動車学校など、グループ会社でさまざまな事業を展開しています。

撮影中に雑談していたのですが、「この工場はとても歴史がある建物で、長くここで働いている人も多いです。地域に根付いたこのような文化を守りながら、時代に合わせて進化していきたい」という主旨のお話をされていて、私は非常に感銘を受けたのを覚えています。

このような風景は動画でしか表現できないなと、改めて感じました。

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※そして、この餃子がめっちゃおいしかったです。
※このnoteでのご紹介、お客さまも了承してくださいました!本当にありがとうございます。