受注2日後に「導入事例取材」を打診するフローを作りました
導入事例は、商談時で使うのか、マーケ側で利用するのか、CSMが顧客むけに活用するのか、ターゲットによって用途が異なります。そのため、「導入事例」「成功(継続)事例」「活用事例」にざっくり分けられることが多いですね。
この「導入事例」の活用状況や要望・ご意見をもらうため、定期的に社内のセールスサイドの方にアンケートをとっていたのですが、ある課題がみえてきました。
導入から取材まで1年ほど待っているうちに、環境が変わってしまう問題
一定の活用期間を経て、導入事例取材を打診するのが通常の導入事例のパターンですが、社内アンケートの結果、「今」活用できる導入事例も増やしてほしいという意図の回答が目立ったのです。
導入後1年〜2年経つお客さまは、導入時の選定理由や背景が今と異なります。サービスをとりまく環境が変わり、プロダクトもアップデートされているため、一定期間活用いただいたお客さまでは、情報が今と合わないケースが一部でてきました。
また、お客さまはいつでも取材OKとは限りません。繁忙期や異動等、取材打診のタイミングが合わないこともあり、「ここのお客さまのお話聞きたいな」と思ってから実際に取材できるまで半年以上かかることも。
活用が進むまで待たないと、いい事例は取材できない、一方で、待っていると「今」必要とされる事例が足りない……。
導入背景、選定理由に特化した事例記事を作りたい
そこで、セールスの支援につながる導入事例を作るためには、「効果」を待たず、もっと早い段階で取材する必要があると考えました。
これまでの型にこだわらず、「なぜ選んでくれたのか」に特化した事例記事を作れないか。
これまで導入事例には効果が入っていないと意味がない。と思っていたのですが、そうとは限らないなと思い、セールス側に相談しました。
セールス側で持っていた課題とやりたいことがマッチ
セールス側でも、受注したお客さまの導入背景、やりたいことなどを一箇所にまとめて見れるようにしたいという課題がありました。
事例記事として公開されていなくとも、情報がストックされていれば提案時のトークに活用できます。業種別、Tier別などに横断検索し、「同業のお客さまはこういった課題が多いですね」といった形で活用したいと考えていました。
そこで、「情報をSFAに蓄積してセールス側で活用できるようにしつつ、その蓄積されていく情報をマーケ側でウォッチできるようにしよう!」という話になります。
受注時のタイミングでアンケートを依頼、回答内容を見て取材打診を検討することに
色々相談・検討した結果、以下のフローをつくりました。
「まだ導入がこれからなのに、連絡して驚かれないか?」と思われるかもしれないのですが、意外にそうでもないです。伝え方として、「活用はこれからですので、主に導入に至った背景や期待していることを伺いたいです」と工夫すれば大丈夫そう。(当然、無理にお願いはしません)
実際に運用をスタートすると、受注後2営業日くらいで「取材できますか」と打診できるケースが出てきました。そして、事例取材を実施し、公開ができました。\わーい/
▼実際に公開した事例記事
※見ていただくとわかるのですが、「導入効果」は書かれていません。
受注時に事例取材を打診するメリット
改めて、この仕組みを設けた結果感じたメリットを記載します。
1.取材打診候補が増える
これまでは一定の期間活用していることが前提でした。(かつ、うまく活用が進んでいるお客さま)ですが、受注したタイミングのすべてのお客さまが対象となるので、取材対象顧客が増えます。
2.今に合った導入背景や選定理由にフォーカスできる
今のプロダクトに合った選定理由や、導入背景に対応した事例記事が作成できるようになります。
3.マーケ側で接点をつくることができる
導入が決まった段階での取材打診ですので、「活用が進んでからならいいですよ」と言われるケースもあります。しかし、「いいですよ」とこの場で一旦取材OKをもらえること自体、結構ありがたいです。(後日、こちらから打診しやすくなるので)
また、お客さまの反応によってはセミナーへの登壇やユーザー会へのお誘いなど、別の場をご相談できる可能性も増えます。
4.双方がこれから「やるぞ!」という熱量の高いタイミングでお話を聞ける
「導入時」はお客さまも「これからやるぞ!」という気持ちが高まっている時期です。その段階で導入の想いや背景のお話を聞くのは、実は結構良いタイミングなのでは?と感じました。
「導入事例」を1つの形にはめ込まない
最初に、導入事例にはざっくり3つほどのカテゴリに分けられると紹介しましたが、導入事例にもいろいろな形があっていいと思います。選定理由から効果から何から何まで全部パーフェクトに揃ってないと作れないとは限りません。
事例を誰にどう使ってもらいたいか、から考えると、それは営業資料だったり動画だったり紙の冊子やDMだったりします。
一方で、できるだけスケールする形をとりたいので、クローズドな営業資料やシステムの中にとどめるのではなく、「公開コンテンツ」にするのがベターです。
「事例がとにかくたくさん欲しい!」&「スケールするよい事例コンテンツを作りたい!」という、セールスとマーケで相反しがちなところを、協力して最善のプランCを見つけられた取り組みだったのではないかと思います。(まだまだ試行錯誤中で、さらに改善予定ですが)今後も皆さんと協力していろいろなコンテンツを試してみたいと思います。
※そういう意味では、最近はお客さま登壇セミナーをレポート化するパターンも作っており、こちらも非常にわかりやすいコンテンツになってよいな〜と思っております!
▼例えばこちらは、ほぼ導入事例と近い、いや、それ以上に現場のリアルな話をしていただいた内容を記事化しています。
どういった事例コンテンツがあれば、商談を前に進める力になりそうか、そこから逆算してあるべきコンテンツの形を模索していけたらな、と思っています!
ちなみにこの受注後2日に事例打診をしたケース……として、以下のインタビューでも少し触れていただいています。こちらでも私が所属するSmartHRのサーキュレーションマーケティングユニットの取り組みの参考になるお話がまとめられているのでぜひご覧ください!
※ちなみに、今は一定の役割を果たしたかな、と思い、このフローはあまりとっておりません。が、「欲しいもの」をつくるために別のやり方や動きも進めております!