見出し画像

呼吸

以前ほど詩を書かなくなったけれど、書く機会はいつにも増してたくさんあるので(ありがたい)、時々は書いている。夏頃から始まった喘息の影響で、急に息がしづらくなることが多いので、最近は「呼吸」について書くことが多い。階段を上がる時はもちろん、ただ座っているだけでも苦しくなる。一日一回は無理やり深呼吸をしている。常に酸素の薄いところにいるみたいな感覚なので、登山とかはしばらくできない体質になってしまったんだろうなと思う。

私は詩を書き始めた頃から自分のことについて書いていた。書くことは発散することだった。でもやっぱりそれでは足りなかったみたいで、行き場を失った緊張、憂鬱、孤独、恋しさ、喪失感……。いろんなものが自分の中に溜まっていった。朝型のはずなのに次第にベッドから起き上がれなくなっていって、喉やみぞおちに「赤ずきんちゃん」のオオカミみたいに石がぎっしり詰まったような感覚になることが増えた。そんな中で発症した喘息。医者はアレルギー体質の人に良くあると言ったけれど、私は、いやストレスのせいだ、と静かに抵抗していた。自分には、ストレスのせいにする資格があると思った。

息を吸って、息を吐く。生まれた瞬間から20年間、当たり前のようにしてきたことが突然難しくなって、改めて生きていることの素晴らしさ(当たり前でなさ)を実感した。でもポジティブな気づきだけでなくて、自分のストレス耐性のなさ、心と体のひ弱さとも向き合わなければいけなくなった。急に血液検査を受けることになった昨日。どんどん追加される薬。これから体がどうなって行くのかが怖いし、悔しい。でも自分のこういった “性質” もいつか当たり前のものとして受け入れられるようになる日が来るんだろう。だってあんなに怖がっていたコロナ、最近は平気になってきたじゃないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?