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まっしぐら

「今はこの話をするときじゃないな」とか、「今Lineしたら無視されるな」とか、「これをストーリーに載せたらああ言われるな」とか……。そうやって常にアンテナを張った状態でじりじり続く生活。プラスチックカップの底に溜まったガムシロップみたいに、一瞬だけ、ほんの一瞬だけの甘いひとときのために生きる人たち。人類が発展するためには恋をしなければならないのに、人を愛するというのはどうしてこんなに苦しいのだろう。神様がいるとして、そういう苦しさも厭わず一人の人間のためにまっすぐに走り続ける人たちを、彼は空の上からどんな顔をして見つめているのだろう。注ぎ続ける愛が、いつまで経っても報われなくて、尊い涙を惜しむこともなく流す人たちに、彼は何を与えるのだろう。罠みたいだ。病気みたいだ……。好きな歌を聴きながら、そんなことを考える。何でもない夜。

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