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太宰治が天才すぎる!女性以上に女性を描き、自分のバカさまで理解している凄さたるや…

最近、太宰治の小説を読んでいる。

昔は毛嫌いしていたのだが、改めて読んだらすごい!
すごすぎる!

太宰治は天才だ!
いやこれホントに!

順を追って説明させてくれ。

ただの僻みで嫌っていた

太宰と言えば「人間失格」が有名だ。

だがオレは、あの小説が嫌いだ。
グダグダ暗いことが書いてあるが、太宰が暗くなる理由なんてない…というか暗くなる資格がない!…と思っていたからだ。

太宰は愛人と心中するのだが、

「心中してくれる女性がいるぐらいモテる奴が、何をグダグダ暗い小説書いてんだ!
 死にたいぐらい暗くなるのは、心中してくれる女性はおろか、彼女の一人もいたことがないようなモテない男だ!」

と、ただの僻みで一方的に嫌っており、もちろん作品もあまり読まなかった。

だが最近、奥さんが「太宰のヴィヨンの妻がいい、女性の気持ちがよくわかっている」と言うので読んでみたら…

「葉桜と魔笛」は女性以上に女性を描いている

図書館で借りてきた太宰の小説集の一作目が「葉桜と魔笛」だった。

いやこれすごい!
ホントにすごい!

ざっくり言うと、処女の苦悩を描いた作品である。
まずこの設定がすばらしい!

童貞は社会的に良くネタにされるが、処女は触れてはいけない感がある。
オレはかつて婚活ブログを書いていたので、女性からの「いい年なのにまだ経験がなくて」「一度でいいから恋愛したい」みたいな相談も受けており、その苦悩たるや童貞以上だと知っている。

相当深い苦悩であろう処女の心情を、太宰は話一つでおそろしく上手く描いているのだが、実に見事だ。

普通の男性には書けないだろうし、女性であっても…いや女性だからこそプライドが邪魔をしてこうは書けないだろう。

すごい、ホントにすごい。

太宰が自分のバカさに気づいている「ヴィヨンの妻」

そして奥さんが好きな「ヴィヨンの妻」。
ろくに働かず酒浸りの夫のために、仕方なく働くことになった妻の話だ。

アマゾンのレビューなどを見ると、女性は強いみたいな感想を持つ人が多いようだが、オレの意見は違う。

「ヴィヨンの妻」は太宰が己の自意識過剰っぷりをあざ笑うかのような、見事な自虐小説である。

しょうもない夫は、言うまでもなく太宰自身だ。
対する妻は、夫のために仕方なく働くも、働いてると一人で育児してるより色々刺激があって「何これ?楽しい!」みたいになっていく。

最後は、夫のくだらない愚痴をバカにするかのような妻の一言で終わる。
見事な自虐である。

オレは人間失格を読んで、「太宰ってのは、何でどうでもいいことでグダグダ悩むんだ?」と思ったのだが、まさか自分でもそれに気づいていたとは…

まぁ考えすぎというか、敏感すぎというか。
さぞかし生きづらかったろうと思う。

ともあれ太宰はすごい!
とりあえず、読みまくってみようと思う。

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