思慕
あなたが創造したこの美しい世界を
どうして愛さずにおけるでしょうか
*
美しい空を見ました。
(手招きするように伸びる無数の雲が
あなたの手のようでした、/
はじまりも終わりも消えて、顔もなまえも思考も着ている服もにんげんもぜんぶぜんぶ剥ぎ取られて、さっきまでわたしはわたしだったことも忘れて、いまこの瞬間わたしであるということも忘れて、
ただ一個のかたまりになって
その場に ご ろ り と転がされたとき、
あなたに抱かれたいとおもいました
/ああ あんまり空が美しいから わたし
つい 過ちをおかしてしまいそうです)
*
雨の音が沈黙を埋めてくれるから、
降り注ぐ雨が愛を伝えてくれるから
敢えて言葉を交わすこともないのでした
わたしはただ黙ってあなたに任せる
しかないのでした
あなたに包まれているとき、これが全てだ
とおもいました
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