思い出を食べる

お寿司屋さんに行くと祖父母はいつも茶碗蒸しを食べていた、だから私もついお寿司屋さんに来ると茶碗蒸しが食べたくなるのかもしれない。

お寿司屋さんに来ると恋人はいつも煮穴子を食べる、だからひとりでお寿司屋さんに来たときはつい煮穴子が頭を過ぎる、でも私は煮穴子が好きなわけではないから頼まない。けれどこれから一生こうやって、お寿司屋さんに来るたびに煮穴子と恋人のことが頭を過ぎるのだろうな、と思った。
煮穴子の呪いにかけられた、と思った。

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