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リーダーシップとは何か

組織開発、とりわけマネジメント層の育成に興味がある。
マネジメント層の視点が上がれば、組織全体の視点も上がる。マネジメント層が変われば、組織も変わる。そんなことを強く思っている。

最近、「リーダーシップの旅」(光文社新書:野田智義、金井壽宏著、2007年初版)を読んだ。今日はその感想。

リーダーシップとマネジメント

リーダーシップとマネジメントの違いは、(研修講師でもあるし)自分でも理解していた。
でも、この本での解説が秀逸。一番印象に残った違いがこちら。

リーダーシップ
「見えないもの」を見て、あるいは見ようとして、新しい世界をつくり出す
マネジメント
「見えるもの」を分析し、それらに受動的もしくは能動的に対応しながら、漸進的に問題を解決していく

この本を読んで、私が重視しているのはリーダーシップの側面なのだな、としみじみ思った。

「管理職とはどんな人であるべきか?」の問いに、私はいつも「未来を明るく見せる人」と答えていた。管理職にはワクワクするような将来を常に見る力が必要だと思っていた。そうしないと、人は楽しくついてこない。

本にもあったが、リーダーシップは別にすごいことではない。
それぞれが、本当は夢見ること、やりたいことがあるはず。
スケールは色々かもしれない。
でも、それを口に出して、「いいね」と人が集まってきて、小さな風が起こるなら、それは十分なリーダーシップ。
別に先頭に立っていく必要もない。

日本の管理職には、このリーダーシップ部分のトレーニングが足りていないと思う。コロナのように未知のこと、経験からだけでは推測できないことも山ほど出てくる。だからこそ、チャレンジ課題に対して、夢を見て、語り、サポーターを得て、実現できるということを何度も体感して、自己肯定感、自己効力感を養っていくことが大切。

自分を振り返ると、以前いた会社でも、いつも私は提案をするタイプ。
こんなことやろうよ、できるよ、やってみようよ、みたいな。それに対して、「はぁ?」とか「さすがにそれはムリじゃない?」とか「いいねぇ」とか「仕方がないなぁ~w」とか、色々言いつつも、一緒にやってくれた(付き合ってくれた?)人達がいたことを思い出す。
そして、そんな私に呆れながらも、細かなこと、足りないことを拾ってくれる人が必ずいた。

ある意味、リーダーシップはあったが、マネジメント力がなかったのだな、と痛感(そして、今でも周囲の人達に本当に感謝している!)。

女性とリーダーシップ

別に私は女性がどうのこうの、と強く言うつもりはないが、やはりジェンダーギャップランキング121位の日本について思うことも沢山ある。
それは、素晴らしいリソースが使われないままに放置されているという、純粋な「モッタイナイ」だ。

最近の一連のオリパラ発言を見てもそうだが、女性はリーダーシップに欠けるという、なんともいえないバイアスがあるなぁと思っている。
この本を読みながら、本当にそうなのだろうか、と考えてしまった。

そこで、思ったことがある。

女性はマネジメントに昇格するにあたり、Why me?(なぜ私が?私のどこが適正だったの?)を理解することが大切と言われている。また、昇格に消極的なのも、女性はマネジメントに昇格するための訓練の機会が男性に比べて圧倒的に低いことも言われている。

本には、リーダーシップは教えられて身につくことではなく、体感することが大切である、ということが何度も出てくる。内なる声に基づき行動を起こした結果、気がつけばフォロワーが付いてくる体験もだ。
それは、自分の実体験としても共感。よって、会社でリーダーシップを育てるにはその体験機会を提供することも大切、とある。

ただ、女性は想像力・責任感が強いことや、ライフイベントの複雑さから、会社が提供する体験機会に「今は乗れない」こともある
よって、リーダーシップを学ぶ機会も男性と比較して減りがち。

会社からすれば、機会を提供した⇒乗れないと言われた⇒「女性はリーダーになりたがらない」、と考え、負のループに陥る。
女性も「今なら乗れる」と思っても、その時に適切な体験機会が得られなかったり、「違う理由で道半ばで中断せざるを得ないことがあるかもしれないから、もういいや」と諦めることもあると思う。

では、本当にリーダーシップが身についていないのか?

確かに、会社が提供した機会を利用したリーダーシップの学びは得ていないのかもしれない。でも、本にあったように、何とかしてやり遂げる力だったり、責任をもって判断したり、フォロワーを得る経験だったり、見えない将来を見ようとすることだったり、は会社以外でも沢山経験していると思う。

ワーママ系で言えば、大小はあるが、パッと思いつくだけでこんな感じ。
・ギャン泣きする子どもを片手に周囲の手を借りながら、どうしてもやりたかった仕事をやり遂げた経験(困難な状況をどうにか周囲を巻き込みながら達成する力)
・子どもの発熱で救急に行くのか否かの判断(人の人生を背負った判断)
・二人目を持つか否かの判断(家族という会社の経営判断みたいなもの、しかも絶対的な時間制限もある)
・学内PTAで行事を進めていった経験(肩書がない中で自分の人間力だけで勝負した経験)

これらだって、リーダーシップを育む素晴らしい経験だ。

会社としては、人を評価するにあたり、社内で発揮された力や、社内で提供された機会での動きを見たいことはよくわかる。でも、それと「女性はリーダーシップに欠ける」は違うんだよなぁ・・・と思ってしまった。

女性側も、男性側も、単純に経験だけでリーダーシップ力を判断せずに、そこから何を得たのか、どんな力がついたのか、で判断して欲しいと思う。
また、誰しもが持っている(時にはひそかに水面下に埋もれさせている)リーダーシップ力に陽をあたらせて、自信を持って欲しいなと思う。

リーダーシップの旅

「リーダーシップ」は便利な言葉で、色々な場面で使われている。

就活生は「リーダーシップを発揮した経験をエントリーシートに書かなきゃいけない」と考え、会社でも「もっとリーダーシップを発揮して欲しい」等と使われる。「リーダー不在」を嘆く声もある。

その「リーダーシップ」とは一体何だろう。
組織を引っ張っていく人、とりまとめ役、と思っていないだろうか。

そして、「リーダーシップ」はキラキラしていて、すごい人がすごい実績を残すもの、持って生まれた素質、と、思っていないだろうか。

そのイメージに囚われて「私なんて・・・」と言う人にどれだけ出会ってきたろうか。

人は実は成長したい生き物。
見えないものを見たい生き物。
小さな子がテーブルの上を見たがるのと同じ。

できる、できない、の結果はさておき。
自分の中に潜んでいる夢を堂々と、しっかり見て欲しいなぁと思う。

そんな、いろんなことを考えさせてくれた本でした。

CANTERAについて

前置きに書くと長くなると思い、最後にしてしまったが、実はこの本は最近参加したCANTERA Academyの「戦略人事基礎講座 ベーシック」の課題本だった。

組織開発に興味があるが、人事経験がない私。
たぶん、会社で一通り色々な経験はしているだろうと思うが、しっかり学んでみたくなり受講した。

戦略人事の概略から、人事制度、採用、評価制度、マネジメント・キャリア概論まで、短期間で幅広く、要点を学ぶことが出来た。受講者は人事畑の方が多く、私が参加して良かったのか悩むところもあったが、実際は人事以外の方も参加しており、幅広く色々な経験を聞くことが出来た。

ニトリじゃないが、値段以上の価値があるので、戦略人事を学びたい方にはおススメします!

CANTERA Academy 戦略人事講座ベーシック
https://note.chro-cantera.jp/academy/


とりとめもない文章になってしまいましたが、備忘録がてら。


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