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詩『山中湖』

ああ、この山中湖の上を飛ぶ鳥は
きっとこの街の全てを知っている
わずか上空100メートルを飛べば
この巨大な水溜まりの全てを見渡すことができるのだから
深夜に軽トラックに跳ね飛ばされた鹿の親子や
熊肉を食べて喉を詰まらせた老人
カフェでコーヒーを飲んでいるカップルに殺された小蝿まで
その全てを知っているのだろう
そうさそのまま
いつまでものんびり、ぼくの上を飛んでいるがいい
そしてぼくがいつかこの湖に帰るとき
その羽を少しだけ
落としていっておくれ
そうすれば来世はきっと
この湖を飛んで生きられる気がする

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