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わたしは首振り人形

わたしは末っ子。
末っ子のいいとこは、姉や兄をそばで見て、反面教師にできるところ。

結構冷静に観察できたりする。
だから、容量がいい子が多いように思う。

もちろん、デメリットもある。

夏休みの自由研究。
みんな、一生懸命何を研究しようか、あたまをひねって、
研究テーマを決めるのだと思う。
わたしの場合、
まだ考えがまとまらないうちから、姉が色んなアイデアをぽんぽんだしてくる。
まるで、今日のおやつにたべたいおやつをあげるように。
ぽんぽん、と。
結局、姉案の一つを採用してしまっていた。
わたしの創造性は、ここで失われてしまったのだと思う。

いや、ひとのせいにしちゃいけないな。
わたしがじぶんの考えを言わないから、か。

我が家は5人姉妹。
7人家族。
全員集まると、とにかくにぎやか。

幼いころは、姉2と姉3が毎日のように漫才やらモノマネやらを繰り広げていて、毎日笑って過ごしていた。

つまり、わたしがしゃべる隙がない。
自然と無口になる。
わたしが話さなくても、誰かがしゃべってくれるからいいや。
そんな風に思うようになった。

こうして、家ではしゃべらないゆきぴが形成された。

ほとんど言葉を発することがなく、
母はわたしのことを「首振り人形」と揶揄した。
ほんと、何考えているのかわからない子どもだったと思う。

高校生になり、
大学に通う姉に学校まで送迎してもらう際、
姉はわたしに変な質問ばかりするようになった。

なぜか?
母の回し者だ。

Yes/Noでは答えられない質問ばかり。
「首振り人形」ではいられない・・・
すぐには答えられないから、だまりこむわたし。

姉「話聞いてる?」
ゆ「うん、きいてる。今考えてる。」
姉「考えてるのか、ボケてるのかわからないから、考えてるならうーんとか、えっとーとか、言いなよ!」

なるほど、考えてるなら、考えてるぞと伝えなければ伝わらないのか。

家でしゃべらないわたしを心配した母は、
わたしが学校でちゃんと友達と会話ができているのか、心配してたらしい。
そこで、姉に「ゆきぴにしゃべらせなさい!」という命令が下ったとのこと。


この事実を知ったのは、だいぶ大人になってから。

そんな姉とは大学入学後、一つ屋根の下(実家)で生活しながら、約7年間も会話をしないという冷戦が勃発する。

この話もまた、いつか。



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