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バイデン政権で何が変るか?

国内経済政策:経済優先からコロナ感染防止に
 アメリカ国内では、コロナ感染拡大 防止措置が強化されるだろう。
 バイデンは、これが最優先政策だとしている。

 トランプ政策は、経済優先というより、経済のことしか考えない政策だった。
 感染拡大防止にまったく無関心というトランプの姿勢は、一国の指導者としてはあまりに異常だった。だから、この政策転換は当然のものだ。

 ただし、経済拡大から感染防止に大きく舵を切れば、経済の落ち込みは避けられない。

 失業率は改善したが、7%近い。今後の失業者の増大にどう対処するかが大問題だ。
 財政支出も国債発行も金融政策も、すでに限度一杯の状態だ。
 金利の上昇圧力が働く。

◆オバマケアは復活するか?
 アメリカで新型コロナ感染が拡大した大きな原因は、公的な医療制度が十分でなく、医療費が高すぎること。このため、低所得者は、感染しても病院にいかない。では、「オバマケア」は復活するか?

◆ 貿易への影響、日本への影響
 日本の対米輸出は復活していた。しかし、アメリカ経済が再び落込めば、日本の輸出も自動車を中心として再び落ち込む可能性がある。これらのことを、日米株式市場はどう評価するか?

 そこからの転換は、短期的には経済に大きな抑圧効果をもたらす。しかし、長期的な発展にはそれが不可欠だ。

対中通商政策の基本は変らない
 バイデン政権になっても、中国に対する強硬政策という基本は変わらないだろう。
 中国の覇権阻止は、アメリカの総意だ。ただし、アメリカだけが独善的に行動するのでなく、同盟国と協力によって中国の拡大を抑制するという方向に変わるだろう。

 対中制裁関税の引下げが行なわれる可能性はある。ただし、雇用を守るために製造業を米国に戻そうとするだろう。この点はトランプと変らない。
 これは経済的には間違っているのだが、政治がそうしたバイアスを持つことは避けられない。

 ハイテック分野での中国製品規制は、むしろ強まる可能性がある。トランプとは異なりバイデンは、米中覇権競争が、 AI 、ビッグデータなどの最先端技術で決まることを理解しているはずだからだ。

国際関係:多国主義への復帰
 トランプは、「アメリカ第一」を宣言して、パリ協定、イラン核合意、世界保健機関(WHO)などの国際的な枠組みから離脱した。
 自由世界のリーダーとしての地位を自ら放棄した。
 バイデンは、多国主義へと復帰する。日欧同盟国や国際機関との協力を進めるだろう。脱退した国際的な枠組みに復帰するだろう。

 中国は、5G、通信衛星、そしてワクチンなどを用いて、一帯一路からアフリカに至る地域での影響力を拡大しようとしている。アメリカはこれを阻止できるか?

◆ 覇権国
 副大統領が女性で非白人。巨大ハイテク産業の企業のトップは、Googleも Microsoftも IBMもインド人。アメリカの強さの源泉であった人種的寛容性は健在。多様性や科学に重きを置く。
 この意味でのアメリカの伝統的に復帰する。
 それが中国との最大の違いだ。人種的に非寛容な中国は、覇権国にはなれない。

◆ ITハイテク企業への政策
 巨大 IT 産業に対する敵対的な政策が変更され、アメリカの技術力を高める方向に変わるだろう。
 独禁法適用ではなく、別の政策手段が模索されるだろう。
 デジタル人民元に対処するため、デジタルドルの開発が進められるだろう。
 一方中国では、アントに対する国の圧力が強まっている。




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