『人生を変える「超」独学勉強法』:全文公開 第1章の02
『人生を変える「超」独学勉強法』(プレジデント社 プレジデントムック)が刊行されました。
6月21日からセブンイレブン店で発売されています。「セブンネットショップ」からもご購入できます。
これは、第1章の02の全文公開です。
■02/ 独学はなぜ最先端の勉強法なのか
●受け身でなく、自ら「プル」することが重要
以下では、学校に通って講義を受けることと、独学で勉強することとの比較を行おう。
まず、講義を受けることと、独学の基本的な違いは何か?
講義の受講は、「プッシュ(押し出し) を受ける」ことだ。つまり、受動的な勉強法である。それに対して、独学では「自らプル(引く)する」。つまり、能動的な勉強法である。
学校では、教室に入って座っていれば、こちらで何のアクションをしなくても先生が教えてくれる。そして、先生が言うことを受け入れればよい(本当はそうではなく、事前に予習をしたり、教室で質問をしたりして、能動的、積極的に参加することが必要なのだが)。
●個人の必要に応じて重点的に勉強できる
「独学が難しいという考えは間違っている。独学は可能である」と本章の1で述べた。
それだけでなく、多くの場合において、独学は学校に通う勉強法より効率的なのだ。図表1-2にしたがって、独学と学校を比較してみよう。
独学の第1の利点は、自分の事情に合った勉強ができることである。また、個人個人の事情や要請に柔軟に対応できることだ。
初等教育での教育内容は、誰にとっても必要なことだ。それは、簡単に言えば、「読み書きそろばん」である。言わば、社会に入るための最低必要条件だ。
しかし、社会人になってからの勉強では、学ぶべき内容や条件が人によって大きく異なる。「何をどれだけ知ればよいか」は、人によってさまざまだ。この点が、学校教育の場合と大きく違う。
したがって、さまざまなことについて「広く浅く」勉強するのではなく、「知るべきことに焦点を絞って」勉強することが必要になる。
独学なら、知っていることは飛ばせる。そして、必要なことをいくらでも深く勉強できる。
たとえば、仕事で使う英語は、一般的な英会話を学んでも、ほとんど意味がない。どのような仕事をやっているかによって、必要な英語は違う。ビジネスに必要な英語はその分野の専門用語だが、英会話学校では学べない。これを学ぶには、独学で勉強するしか方法がない。
独学は、事情が変化したときに対処できる柔軟性もある。学校に通っている場合には、一度選択したコースを変更するのは難しい。しかし独学なら、知りたいことを柔軟に変更できる。やり直しもできる。
さらに、自分の都合に合った勉強ができるし、すきま時間を活かした勉強などができるという利点もある。また、費用があまりかからないということもある(ただし、「費用がかからないから独学のほうがよい」というわけではない)。
●学ぶこと、知ることは最大の喜び
独学のもう1つの大きな長所は、楽しいことだ。
そもそも、われわれはなぜ勉強するのだろうか?
能力を高めるために必要だからだ。そして、勉強すれば、リターンがあるからだ。
ただし、勉強する理由は、それだけではない。
一番大きな理由は、勉強することが楽しいからだ。
人間は、生まれたときには、ごく限定的な能力しか持っていない。人間の能力のほとんどは、後天的な勉強(学習)によって獲得する。この意味で、人間はきわめて特殊な動物なのだ。
人間の本質は、勉強にある。勉強こそ、人間の人間たる所以だ。だから、勉強することは本能的に楽しいのだ。
「勉強したい」という本能に導かれて行う独学は、大変楽しいものである。おそらく、どんなことよりも楽しいだろう。
●インターネットが独学の優位性を飛躍的に向上させた
インターネットが発達したことによって、独学のための条件は飛躍的に改善された。
検索サービスを利用して、知りたい知識を得ることができる。英語などを勉強するための教材がウェブで簡単に手に入る。大学と同じレベルの独学コースも提供されている。さらには、自分が勉強した成果をウェブで発表したりすることもできる。
しかも、スマートフォンが発達したので、こうしたことがどこでも簡単にできるようになった。満員電車の中でも可能だ。
ITの発展によって、「知識をプルする」ための条件は以前に比べて大きく改善し、知識のプルは、ずっと容易になったのである。そして、第7章で述べるように、技術が進歩すると、独学のための条件はさらに改善されるだろう。
独学の優位性が増したのである。
20年前には、独学は難しかった。あるいは、効率が悪かった。それが変わったのだ。独学は21世紀の勉強法である。
●独学で気をつけるべき3つのポイント
ただし、独学は、よいことばかりではない。欠点もある。
学校に通うこととの比較で言えば、次のような問題がある(25頁、図表1-2参照)。
第1に、継続できないで途中でやめてしまう危険性が高い。どうすれば継続できるか。これについての具体的方法は、第4章で論じる。
第2に、「ある目的を達成するために、何を勉強したらよいのか、どのように勉強したらよいのか」ということが必ずしも明確でない。これは、「カリキュラムを作るのが難しい」と言ってもよい。
第3に、学校のよい点は、同じ目的を持っている仲間を作れることだ。しかし、1人で勉強していると、クラスメイトや勉強仲間が作れない。
独学の場合に仲間をどう作るかは、難しい問題である。
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