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『2040年の日本』:全文公開  目次

『2040年の日本』 (幻冬舎新書)が1月20日に刊行されました。
これは、目次全文公開です。

目次

はじめに:なぜ未来を考えるのか 3

未来は、いまと同じではない/仕事の成果を上げるために、未来予測が不可欠/遠い未来のほうが見通しやすい面もある/予測できない「重大な事態」が起こることもある/各章の構成

第1章 1%成長できるかどうかが、
日本の未来を決める 26


1 なぜ経済成長が必要なのか 26
「成長率の違い」は絶大な差をもたらす/財源は国債だけでは賄えない/とくに成長が必要なのは、日本

2 少子化の下で1%成長を実現できるか 30
OECDの長期予測は当たるか/財政収支試算では、2%を超える成長率を想定/公的年金の財政検証の見通し/民間の成長率の予測は、政府の見通しよりも低い

3 高い成長率見通しは、深刻な問題を隠蔽する 37
実質成長率が1%か2%かで経済は大きく変わる/財政収支試算が予測していた「2020年度の姿」/「高成長」も「財政収支改善」も実現できず/低金利で財政収支問題が見えなくなっている/「高成長」前提は、未来に対する責任放棄/年金財政検証では「実質賃金」の見通しが異常に高い

4 日本経済の長期的な成長率を予測する 44
成長率を規定する3つの要因/日本経済の長期的な成長率を評価する/OECDによる成長要因分析/デジタル人材の育成に向けて、リスキリングを強化できるか/政府は「ゼロ成長のシナリオ」を示すべきだ

5 出生率低下は日本の将来にどんな影響を与えるか 56
日本は世界で最も高齢化が進んだ国/かつては英米のほうが高齢化国/出生率低下で、少子化がさらに深刻化/出生率が低下しても、労働力人口や高齢者人口は変わらない/社会保障制度を維持できるか/2060年には現役世代人口と高齢者人口がほぼ同じに/出生率引き上げより、高齢者や女性の労働力率引き上げが重要/雇用延長で対処できるか

第2章 未来の世界で 日本の地位はどうなるか 70

1 日本は豊かな国であり続けるが、新興国との差は縮まる 70
日本の人口は2050年までに2割減少する/未来の世界では、中国、インド、アメリカが経済大国/これから豊かになるのは、どの国か/中国やインドと日本の所得格差が縮まる/購買力平価での評価は、将来実現できない可能性も

2 中国との関係構築は、きわめて重要だが難しい 79
巨大で特殊な国: 中国/中国の高額所得者は、日本よりずっと多くなる/中国政府によるデータ規制の強まり/「リショアリング」はありうるか

3 GDPが日本の10倍になる中国と、どのように向き合うべきか 86
40年経てば世界は大きく変わる/市場為替レートでは、日中間格差は縮まる可能性/日本が防衛費を増やすことに意味はあるのか/これから日本は何を目指すべきか

4 急激な円安で、日本は台湾より貧しい国になった 92
円の購買力は60年代の水準にまで逆戻りした/一人当たりGDPで、日本は台湾に抜かれた/日韓の賃金格差がさらに拡大/賃金が上がらなくても、iPhone は値上がりする/iPhoneでは、国際的な「一物一価」が成立する

第3章 増大する医療・介護 需要に対処できるか 100

1 社会保障負担を4割引き上げる必要があるのに、何もしていない 100
社会保障の給付と負担が60%増える/ゼロ成長経済での社会保障負担率はどうなるか/2040年、国民の社会保障負担率は驚くべき数字になる/社会保障の負担を一定にするには、給付を4分の1削減するか、4割の負担増の必要ある/「負担が4割増える」ことの具体的イメージ/国民の負担引き上げの具体的手当てが論議されていない/医療保険の自己負担率はどこまで上がるか/年金支給開始年齢が70歳になれば、生活保護受給者が激増する/資産所得課税の強化が必要/銀行預金口座とマイナンバーとの紐づけに関する誤解/医療保険制度の本質に関する議論が必要/「全世代型社会保障」は目くらまし?

2 超高齢化社会では誰もが要介護になる 118
「90歳以上、夫婦とも介護・支援不要」の確率はわずか5%/親が要介護になるのは、ほぼ確実/「要介護3」が全面的な介護になるかの分かれ目/長寿者は死者を羨むか?

3 医療・福祉が最大の産業となる20年後の異常な姿 125
2040年の医療・福祉関係の就業者は全体の18・8%/生産性が向上しても、必要就業者数はあまり減らない/医療・福祉だけが成長を続ける

4 低い賃金で、必要な介護人材を確保できるか 130
医療・福祉分野96万人不足する/今後は外国人労働力に頼れない可能性も

5 こんな経済が成り立つのか 132
医療・介護需要の増大で経済を維持できるのか/市場を通じない経済活動が拡大する

第4章 医療・介護技術は、ここまで進歩する 137

1 医療技術はどこまで進歩するか 137
2050年までに、ガンが克服される/ナノマシーンで、外科手術なしに治療/「細胞療法」で皮膚、骨、臓器を再生/「ゲノム編集」でアルツハイマー病に対処/AIの活用で病変の見落としを防ぐ/病気になる前に発見して、対処する/医療費を考慮すると、予防医療はいっそう重要になる

2 介護ロボットはどこまで進化するか 148
介護ロボットの活用/介護にメタバースを活用できる?/介護の省力化技術は重要/コストが高ければ、問題を引き起こす

3 未来の医療は、メタバースで行なわれる 153
メタバース医療への期待/「メタ病院」がメタバースの最も重要な領域に

第5章 メタバースと無人企業はどこまで広がるか 159

1 メタバースがもたらす巨大な可能性 159
「仮想世界への没入」がメタバースの価値ではない/「可処分時間」には限度がある/「アバターにされる」ことへの拒否反応/メタバースには「現実逃避」以外の可能性がある/ファブレス製造業や「デジタルツイン」技術

2 メタバース経済取引の可能性と問題点 165
「利用者から販売主体」になることの大きな意味/メタバース上での取引の秩序を確保できるか/不正の取り締まり
や課税が問題/警察権、司法権、徴税権が必要/巨大なブラック経済圏が誕生するおそれ/テロリストグループが悪用するリスク

3 日常生活にメタバースを使う 172
メタバースからビッグデータを入手する/自動車の試乗をメタバースで/メタバースの役割は広告や商品選択/マイナンバーカードの取得・更新をメタバースで/ 官公庁の窓口業務をメタバースで/ 運転免許証の試験をメタバースで/学校教育をどこまでメタバースで行なえるか

4 NFTで何ができるか? 181
NFTとは何か/ Non-Fungibleとは/デジタルアートをNFTとして取引する/「真の所有者」という証明が価値を持つ/アーティストにとっての「新しい所得獲得手段」が誕生した

5 無人企業DAOが現実化する 186
ブロックチェーンとは/スマートコントラクトとは/すでに稼働しているDAO/未来の世界でDAOはどうなるか

第6章 自動運転とEVで生活は大きく変わる 195

1 完全自動運転が実現したら、社会はどう変わるか 195
きわめて大きな変化が自動車に起きる/自動運転が引き起こす経済的・社会的変化/大量失業問題にどう対処するか/自動車産業の情報化が進む/自動運転が導入されれば大きなメリット/地域間格差が是正され、都市内の地価は平準化する/物流が大きく変わる/店舗がいらなくなる

2 自動運転で生活環境は大きく変わる 204
自動車は所有するものでなく、利用するものに/自動車の保有台数は激減する/自動車産業が大きく変わる/地価が暴落する?/免許制度は不要になる/自動車保険も大きく変わる

3 EVへの移行は進むか 213
地球温暖化対策として、EVへの転換が必要/ヨーロッパでEVへの移行が進む/日本の自動車メーカーは、EV時代に対応できるか

第7章 再生可能エネルギーで脱炭素を実現できるか 218

1 日本の将来のエネルギーは大丈夫か 218
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて/不名誉な「化石賞」を受賞した日本/省エネでエネルギー需要を23%削減/再生可能エネルギーは、欧米では50〜70%/火力への依存の高さは、ウクライナ問題で見直しが必要?/原子力への過剰な期待は禁物/産業構造の改革が必要

2 原発の所要稼働台数を計画の3分の1に減らせるか 227
ロシアのウクライナ侵攻が変えた「エネルギー見通し」/「原子力発電の稼働を急げ」との意見が強まるだろう/サハリン権益の喪失は、長期的には大問題ではない/エネルギー基本計画での想定成長率は高め/原発の所要稼働数は30基から10基に減らせる

第8章 核融合発電、量子コンピュータの未来 

1 実現が難しい技術はどうなるか 236
核融合発電は実現できるか/エネルギー分野では、新技術にあまり期待できない?/人工光合成、海洋都市、宇宙建築も難しい

2 比較的早期に実現できる技術 240
2030年頃に実現可能になる技術/製造業、天然資源関連の技術/移動とコミュニケーション関連の技術/リアルタイム自動翻訳が実用化すれば、デジタル移民が押し寄せる/フードテックの可能性

3 量子コンピュータと量子暗号とは何か 249
この問題がなぜ重要なのか/インターネットの通信は、暗号で守られている/仮想通貨は、電子署名のために「公開鍵暗号」を使っている/仮想通貨の「プルーフ・オブ・ワーク」/力ずくで解く/状態の重ねあわせが重要/量子コンピュータが得意な分野は限られている/量子コンピュータのいくつかのタイプ/量子コンピュータでも破れない暗号が開発されている/「格子暗号」と「量子鍵配送」とは

第9章 未来に向けて、人材育成が急務 264

1 日本のデジタル化は「バック・トゥ・ザ・パースト」 264
AIやロボットで「働き方」が変わる/デジタル庁発足から1年経ったが、デジタル化は進まない/プリンタを使わなくなって20年経つが……/相手に「オンラインでよいか」と頼めない/中途半端な「デジタル化」を排除しよう/私は「紙」を多用している

2 世界ランキングで分かる、日本の大学の立ち後れ 274
上位100校中の日本のシェアは5%。GDPシェアより低い/韓国やアメリカでは、上位100校中のシェアがGDPシェアより高い/コンピュータサイエンスで、日本の立ち後れは著しい/先端分野で、上位100校に入る大学数を現在の3倍にする必要がある/新しい資本主義には「大学改革」が不可欠

3 デジタル人材育成の遅れが日本の遅れの基本原因 282
日本のデジタル競争力は、63カ国・地域中29位/高度成長を支えた日本式OJT/OJTからリスキリングへの移行が必要/日本の人材投資は、異常と言えるほど不十分/日本は「人材競争力」でサウジアラビアに抜かれた/デジタル田園都市国家構想は機能するのか

4 勉強しない日本の学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの学生 289
日本では初任給が一律なので、大学生が勉強しない/アメリカでは成績で賃金が違うので、学生は「死に物狂い」で勉強する/大学を中退して成功した人びと/「大学を中退すれば成功する」ということではない

おわりに:われわれは、未来に対する責任を果たしているか? 297

かつての日本で、「黄金時代」は未来を意味した/未来は選択するもので、与えられるものではない/政治と行政の「近視眼的バイアス」をどう克服する?/われわれは、未来の世代に対する責任を果たしているか?

図表目次 305
索引 310


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