超整理日記

2020年にマネーが大きく変る:「超」整理日記第969回

◇ リブラとデジタル人民元
 2020年には、マネーの世界で大きな変動があるでしょう。
 その前兆は、2019年にありました。
 6月に、Facebookが「リブラ」という仮想通貨の構想を発表し、マネーの世界に激震が走りました。

 とくに大きなショックを受けたのは、各国の中央銀行や政府です。ビットコインのようなこれまでの仮想通貨とは違って規模が大きく、現実の通貨を代替してしまう可能性があったからです。
 アメリカ政府や議会は、これに対して直ちに「規制が必要」との態度を明らかにし、G5やG20などで、規制の必要性を強調しました。
 Facebook側もこれを受け入れると表明したので、いまのところ、リブラの計画は少なくとも外面的にはストップを掛けられた状態です。

 他方でこれに刺激を受けた中国は、夏ごろから、中国人民銀行が行っていたデジタル人民元(仮想通貨)の開発研究を加速したようです。
 それを示す情報が出てきました。
 正式な発表ではないのですが、人民銀行の幹部や元幹部などからの、「準備が整っており発行が間近」というコメントが秋から冬にかけてなされました。
 今年の初めには、地域を選んで実験が行われるではないかという観測がなされています。
 2020年は、デジタル人民元をめぐって、世界が大きく変動することが予想されます

◇ 世界は動いている
 振り返ってみると、この10年間程度の間に、マネーの世界には大きな地殻変動が生じています。
 第1は、2009年に登場したビットコインが急成長したこと。
 2017年の初めに、「今年は仮想通貨の年になる」と書いたのですが、実際、2017年を通じてビットコインの価格が急上昇し、大きな関心を集めました。

 他方、中国では、アリペイやWechatPayなどの電子マネーが急速に成長し、キャッシュレス化が加速しています。

 単に送金・決済が変るだけではなく、電子マネーの利用状況のデータを用いて、信用スコアアリングを行なうなどの新しいサービスも始まっています。
 また、顔認証による決済が可能になりつつあります。これが進展すれば、店舗の無人化が可能になるわけで、流通業に大きな影響与えるでしょう

 キャッシュレス化は、北欧諸国でも進展しています。

 アメリカでも何年ごろからPayPalのサービスが始まり、また様々なフィンテックのスタートアップ企業が登場しています。規模では中国に押され気味とはいうものの、新しいアイディアが生まれつつあることは間違いありません。
 ビットコインもその創始者であるサトシ・ナカモトがどこの国の人なのかはいまだにわからないのですが、ビットコインを育てたコミュニティがアメリカにあり、アメリカを中心としてビットコインが成長していったことは間違いありません。

◇ 日本は取り残されてはならない
 事態が変っていないのは、日本とヨーロッパ大陸です。

 マネーは経済活動の基礎になるものですから、これが変れば、経済に大きな影響があります。

 うかうかしていると、日本は通貨主権を中国に奪われかねない状況です。
 これから起ころうとしていることが、経済の基本に関わる極めて大きな変化であることをよく認識する必要があります。

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井の頭公園の池です。池の底が見えるようになりました。

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超整理日記12-31




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