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新しい二重構造を3つのステップで理解する

『野口悠紀雄の経済データ分析講座:企業の利益が増えても、なぜ賃金は上がらないのか?』が、ダイヤモンド社から11月28日に刊行されます。
これは、第2章のトップ・ページです。

◇ 新しい試みに挑戦
これまでは、書籍に掲載されているグラフや図表をそのまま受け入れることしかできませんでした。
ところが、本書に印刷されているQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ると、本書のサポートページを開くことができます。ここから、本書に掲載している図表のデータをダウンロードできます。
これを用いて、データを自分で加工し、新しい問題点を発見したり、説明を考えたりすることができます。
本書は、印刷物が持つ一覧性と、インターネットの大量情報提供機能を結びつける新しい試みです。

第2章 新しい二重構造が発生している

2章のポイント図表


◆3つのステップで日本企業の業績動向を理解しよう

(1)疑問を持とう――日本企業の業績は、規模や業種で大きな違いがあるのではないか?
 報道では、企業利益は史上最高だといいます。しかし、これは、上場企業、つまり大企業に限ったことではないでしょうか? 日常的な観察でも、大企業と零細企業の間には差があります。ただし、どんな指標に関してどの程度の差があるかは、必ずしも明確に把握されていません。また、こうした差は、以前からあったものなのでしょうか? それとも最近拡大しているのでしょうか?

(2)仮説を立てよう――大企業は好況だが、零細企業は厳しい
 アベノミクスの期間、大企業の状況はよかったのですが、零細企業は厳しい事態に直面しました。史上最高の利益とは上場企業のことであり、日本経済の一般的状況ではありません。

(3)データで確かめてみよう――企業規模別による違いは大きい
 法人企業統計調査によれば、企業規模別の違いを詳細に知ることができます。また、時系列的な変化も追えます。日本に新しい二重構造が生じていることが分かります。

 図表2-1は、第2次安倍政権が発足した2012年10~12月期と18年10~12月期の間に、売上高と利益がどのように変化したかを、企業規模別に示したものです。
 資本金5000万円以上の企業では、売上高が概して順調に増加し、利益が顕著に増加しました。ところが、資本金5000万円未満の企業では、売上高が伸び悩み、利益が資本金5000万円以上の企業ほどは伸びませんでした。このように、資本金5000万円を境として、状況が大きく異なります。

◎グラフを自分で描いてみよう

図表2-1のデータと、それをグラフに描く方法の説明が、サポートページにあります。
QRコードをスマートフォンのカメラで認識させて、開いてください(QRコードは、書籍にあります)。

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◇ 経済データはどこで入手できるか?

「使える日本経済データ」ナビゲーション

◇ エクセルでグラフを描くのは簡単

・エクセル「超」活用法(目次)

◇ 日本経済をデータで分析する

 ・日本経済を理解する3つのステップ


サポートページの説明3


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