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システム障害で思い知らされたグーグルへの依存

 12月14日に起こったグーグルのシステム障害で、「仕事ができなくなる!」と動転した。いかにグーグルに依存しているかを思い知らされた。世界中で何億もの人が、私と同じように慌てふためいたろう。これを考えても、米司法省の独禁法提訴が無意味であることが分かる。

グーグルドキュメントもGメールも突然使えなくなった!
 12月14日の21時頃、Googleのシステム障害が発生した。

 私の場合は、まずグーグルドキュメント。PCで作業したテキストを保存しようとしたところ、「一時的に利用できません」の表示。
 暫くしてトライしても、何度も同じ表示が続く。
 そこで、PCのデータをGメール で送ろうとしたら、これも使えない。
 スマートフォンでも、Gメールが使えない。

 最大の問題は、これが私だけの障害かどうかだ。
 サービスが正常に提供されているかどうかを調べるページがあるので、そこでチェックしたところ、グーグル ドキュメント 、Gメール を始めとして、すべてのサービスが正常という緑マークになっていた。
 では、グーグル側のシステム障害ではない。

 つまり、私だけの問題だ。ここで動転した。
 Gメールが使えないのは、外界との連絡を断たれてしまうようなもの。
 いや、それよりもっと悪い。なぜなら、他の人からの送信を、私が見ることができないからだ。
 「連絡をしたのに何の返事もない」ということになってしまう。 

 そこでグーグルアカウントにログインしたら、入力した私のIDは「見当たりません」という表示。 
 ここでパニックになってしまった。
 最低、徹夜を覚悟した。

 最悪の場合、暫くGメールやGoogleドキュメントが使えないかもしれない。
 そして、そこに入れてある膨大なデータを失ったかもしれない。
 悪夢 を見ているような気持ち。一体どうしたらよいのだろう。膝がガクガク震えた。
 どんなにGoogleに依存しているかを、とことん思い知らされた。

グーグルのシステム障害と分かってほっとした。
 思いついて、Gメールで連絡している相手に電話してみた。すると、やはり繋がらないという。
 それを聞いてほっとした。私だけの事故ではなく、グーグルのシステム障害 だと分かったからだ。
 「システム障害でほっとした」というのは妙に聞こえるかもしれないが、グーグルの事故なら、世界で何十億の人が同じような事態に陥る。私だけが仕事ができなくなるわけではない。
 それに、グーグルの事故であれば、いつかは復旧するだろう(実際、このときは、22時頃には復旧した)。

 これまで Gメール などを使っていて、一度も障害がなかった。
 グーグルは、全世界の何十億の人々にサービスを提供して事故を起こさなかったのだ(今年の夏にもシステム障害が発生したらしいが、私は知らなかった)。
 しかも無料のサービスだ。
 グーグル がいかにすごい企業かが分かる。

 2年くらい前にソフトバンクの通信障害があった。あの時も慌てたが、膝が震えることはなかった。
 また、インターネットの接続がおかしくなったこともあり、この時も慌てた。しかし、インターネットは予備の回線を用意してある。それに、スマートフォンを使えば何とか仕事は続けられる。
 今回は、もしトラブルが私だけのものなら、数ヶ月は仕事ができなくなると思った。そうならなくて本当によかった!

 人々は、代替サービスを求めているのでなく、安定したサービスを求めている
 今回の障害で、世界中で数億人が私と同じように動転し、慌てふためいたことだろう。
 それを考えると、先の米司法省によるグーグル提訴がいかに見当違いかが分かる。
 多くの人は、iPhoneのデフォルト検索エンジンとしてグーグルが出てくることに、不満を抱いているわけではない(どうしても嫌だという人は、他のエンジンをダウンロードすればよいだろう)。
 人々が望んでいるのは、グーグルが安定したサービス提供を継続してくれることだ。
 つまり、今回のようなシステム障害が起こらないことを望んでいるのである。グーグルに代わるサービス提供者を求めているわけではない。
 だから、多くの人々が望んでいるのは、独禁法が問題にしていることとは違う。

 ただし、それとは違う意味で巨大プラットフォーム企業が問題であることは事実だ。
 米連邦取引委員会が、フェイスブック を、新興企業の買収により競争を妨げたとの判断で反トラスト法違反の疑いで提訴したが、これは意味があることだ。
 なぜなら、それによって、本来生じるべき競争が阻害され、技術進歩が阻害されるおそれがあるからだ。
 買収問題は、巨大IT企業の根幹にかかわる。もちろん、グーグルについても、同じ問題がある。
 さらに、プラットフォーム企業によるプロファイリングが問題だとも考えている。しかし、これも独禁法とは直接関係のない問題だ。
 それに、国家に個人情報を握られることのほうが、ずっと問題だ。


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