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『「超」創造法 』生成AIで知的活動はどう変わる?

『「超」創造法』 生成AIで知的活動はどう変わる?(幻冬舎新書)が9月27日に刊行されました。
これは、第12章の1全文公開です。

第12章  生成系AIに職を奪われる人、成長する人

1 大きな変化がこれから起きる

インターネットは多くの人の職を奪った

 インターネットは、情報の生産や流通にかかわる、あらゆる仕事に甚大な影響を与えました。
 最初に生じた事件は、百科事典が消滅してしまったことです。『エンサイクロペディア・ブリタニカ』は数百年の歴史を誇る知の宝庫。これがマイクロソフトの『エンカルタ』という電子百科事典によって、あっけなく潰されてしまいました。その『エンカルタ』も、いまや存在しません。百科事典だけでなく、さまざまな辞書もインターネット上の無料の辞書に取って代わられました。
 影響を受けたのは、辞書だけではありません。出版数そのものも、書店数も、新聞や雑誌などの紙媒体の刊行物も大きく減少しました。
 その後、スマートフォンが普及し、電話機やカメラのメーカーなどの製造業にも甚大な影響が及びました。
 これと同じような変化が生成系AIによってこれから引き起こされるだろう、自分がいまやっている仕事がAIによって置き換えられてしまうだろうと、多くの人がおそれています。
 文章作成にかかわるあらゆる仕事がAIに置き換わるわけではありませんが、現在の仕事のうちのかなりが、それによって置き換えられ、その結果、多くの人がいまの仕事を失うことは、決して杞憂ではありません。

機械を打ちこわしても、歴史の動きは止められない

 では、どうしたらよいのでしょうか?
 新しい技術が失業をもたらすおそれがあるからといって、その使用を禁止するだけでは、現代版の機械打ちこわし運動以外の何物でもありません。新しい技術が職を奪うからと破壊しても、何の意味もないのです。
 まず、新しい機械は、つぎつぎに生み出されるでしょう、それらをすべて打ちこわすことは不可能です。
 個人の立場から言えば、そんなことをするよりも、新しい技術をうまく使えるように、自分自身を訓練し、変革することのほうが重要です。
 そして、社会全体の立場から言えば、新しい技術が人々を不幸にするのではなく、生活をより豊かなものにすることができるように、さまざまな制度を変えていくことが必要です。壊すだけでは止められない歴史の動きがあります。生成系AIは、その一つなのです。


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