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「超」英語独学法:要点の要点(1)

◆どこに集中し、どこで手を抜いたらよいか

・多くの人が、「時間をかけて勉強したのに英語が上達しない」と言う。その一番大きな原因は、「やり方を間違えている」ことだ。

・われわれは限られた時間の中で、しかも外国語として英語を勉強するわけだから、英語を母国語とする人々と同じレベルまで英語をマスターすることはできない。

・そこで、どこに集中し、どこで手を抜くのかが、重要なポイントになる。

・英語の教師は、これについて必ずしも正しい判断ができるわけではない。判断ができたとしても、「ここは手を抜いてもよい」とは、おそらく言わない。そんなことを言えば、自分が失職してしまうかもしれないからだ。

・「どこに集中し、どこで手を抜くのか」は、英語を道具として使っているユーザーの観点からしか言えない。

・私は、英語の教師ではないが、「英語のユーザー」ではある。私自身の経験を振り返り、どこに集中して、どこで手を抜いたらよいかという判断を軸に、英語の勉強の具体的な方法論を考えていくことにしたい。

◆日本人が陥っている五つの間違い 

多くの日本人が陥っている間違いとは何か? それはつぎの五つだ。

・第1の誤りは、「勉強しなければ」とか、「英語を流ちょうに話せるようになりたい」と漠然と考えることだ。何のために英語を勉強するのかを、はっきりさせる必要がある。

・第2の誤りは、英語にはさまざまなものがあることを意識していないことだ。世界にはさまざまな英語がある。国や地域によって違うし、正確な英語と、俗語・スラングとの違いもある。

・第3の誤りは、「英会話学校に行けば英語が上達するだろう」と期待することだ。

・第4の誤りは、英語を単語に分解し、翻訳することによって理解しようとすることだ。

・第5の誤りは、「実用英語のためには話す訓練が必要」と考えることだ。しかし、重要なのは「聞く訓練」だ。聞くことができれば、自動的に話せる。話す訓練はとくに必要ない。

どこに集中すべきか?

・新型コロナウイルス後のニューノーマル時代には、ビデオ会議によって簡単に国境を越えることができる。こうした世界では、英語の重要性がさらに増す。

・仕事で英語を使う場合には、正確な英語を理解できればよい。スラングや方言は分からなくてもよい。また、RとLの区別が正確にできるようになるよりは、コミュニケーションがきちんとできることのほうが重要である。

専門用語は、完璧にマスターする必要がある。「英会話学校に通えば英語がうまくなる」と考えるのは、「仕事に使う道具」という視点がないために生じる誤りなのだ。

単語帳を捨てて丸暗記する必要がある。暗記する対象は、自分が興味のあるものを選ぶのがよい。「丸暗記法」は、受験のための勉強法としても、最強のものだ。

・英語を聞く練習は、完璧に行なう必要がある。そして、信じられないかもしれないが、完璧に聞けるようになれば、自動的に話せるようになる。

・「聞く」ための教材は、いまではインターネット上にたくさんある。英語を完全に聞けるようになるために必要な訓練時間は、2000時間程度だ。

・話し言葉はある程度の間違いがあっても許されるが、英語の文章を書く場合には、正確でなければならない。なぜなら、書いた文章によって能力を判定されるからだ。そしてビジネスに支障をきたす事態にもなりかねない。

・日本人にとっては、とくに冠詞が難しい。これを間違えると、英語とはみなされない。相手の書いたメールをモデルにして書き換えるなどの緊急対応策はあるが、基本的には勉強するしかない。

自動翻訳は、さまざまに使うことができる。音声で入力したものを翻訳し、音声で出力することができるので、会話に近いことが実現できる。

・最近では、AIの図形認識能力(パタン認識能力)が向上したため、印刷された文字の読み上げや翻訳もできるようになった。
 自動翻訳機能は、とくに英語以外の言語について、便利に使える。ただし、このようなことができるようになっても、外国語の勉強は必要。

・外国語を読んだり聞いたりすることができれば、知識が広がる。それによってさらに勉強したいという気持ちが強まる。このような楽しみがあるからこそ、外国語を勉強するのだ。

◆ 新しい技術を活用しよう

・強く感じるのは、情報技術の進歩。とくに、外国語の音源がきわめて簡単に手に入り、それらを簡単に利用できるようになったことだ。

・私は学生時代に、ケネディ大統領の就任演説の録音が欲しくて、散々苦労したことがある。何年もしてから「ソノシート」という形で手に入れたときは、宝物を獲得した気持ちだった。ところがいまでは、インターネットにアクセスすれば、鮮明なカラー動画付きの録音をいとも簡単に、しかも無料で入手することができる。

・1980年頃には、在日米軍のラジオ(FEN)のニュース解説を録音して英語のヒアリングの訓練をしたことがある。しかし、いまは、録音などという面倒なことをしなくても、インターネットにアクセスするだけでよい。そして、スマートフォンを持っていれば、散歩中でも電車の中でも聞くことができる。

・さらに、コンピュータのパタン認識能力の向上によって、書籍に印刷された文字をスマートフォンに読み上げさせたり、翻訳させたりすることが可能になった。いまや、どんな国の言葉でも、理解できないものはない

・こうして、外国語の勉強を、効率的に進められるだけでなく、楽しく行なうことが可能になった。このような驚くべき技術進歩の成果を最大限に利用しなければ、本当にもったいない。



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