誰にも愛される名画「オズの魔法使い」
「オズの魔法使い」は、1939年に公開されたアメリカ映画。
ドロシー・ゲイル(ジュディー・ガーランド)は、エムおばさん、ヘンリーおじさんに育てられて、カンザスの農場に住んでいる。
カンザスというのは、アメリカでは「ど田舎」の代名詞である。
ドロシーは、「虹の彼方に幸せがある」と思っている。
ドロシーがこの歌(Somewhere Over The Rainbow)を歌うところは、映画史に残る名場面だ。
彼女は、愛犬のトトとともに、 竜巻で吹き飛ばされる。
この当時は、カラー映画は珍しかった。この映画では、色彩が効果的に使われている。
それまでは、セピア色の画面だが、ドアをあけると、極彩色の魔法の国が広がっている。
ここでドロシーがいう台詞、「トト、ここはカンザスじゃないみたいよ」(Toto, I've got a feeling we're not in Kansas anymore.)は、映画史上最も有名な台詞の一つになった(アメリカでこの映画が上映されるとき、このセリフには拍手と大歓声が上がるそうだ)。
状況が大きく変わってしまったことへの戸惑いや驚きを表わすのに、いまでもよく使われる(例えば、「AIが囲碁で人間を負かした」ことを伝えるのに)。
大きなシャボン玉に乗って、北の良い魔女(ビリー・バーク:彼女は名女優)が現れる。
そして、Follow the Yellow brick road(黄色のレンガ道をたどるように)、そうすれば、エメラルド・シティにいるオズの魔法使いがカンザスに戻してくれるだろう、と教えてくれた。
大勢に送られて、ドロシーが歌い、踊りながら、黄色い道を出発する場面、本当に楽しい。
途中でかかしにあう。
さらに、ブリキ男、臆病なライオンと出会い、4人の仲間になる。これは、「スタウオーズ」に影響を与えた(かかし=R2-D2、ブリキ男=C-3PO、ライオン=チューバッカ )。
ジョセフ・キャンベル『千の顔を持つ英雄』 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫、 2015年)によれば、冒険物語は、必ずつぎのような展開をする。
(1)故郷を離れて旅に出る
(2)仲間が加わる
(3)敵が現れる
(4)最終戦争が勃発し、敵を打ち破る
(5)故郷へ帰還する
『指輪物語』もこのとおりの展開をするが、「オズの魔法使い」も、このとおりに進展する。
この映画の存在は、とても貴重だ。どんなに嫌なことに会って、どんなに厭世的になっても、この映画を見れば、救われるから。
物語りの魅力(話の筋自体は、どうということはないのだが)と、ジュディ・ガーランドの魅力だ。「ドロシーのように勇気を出して、立ち向おう!」
ビデオテープが登場する前、映画マニアのなかでもさらにマニアックな人は、自分の好きな映画の16ミリフィルム版を買ってきて見ていた(さぞや高価だったろう)。その頃もっとも人気があったのが、「オズの魔法使い」だったそうだが、その理由はよく分かる。
いまでは、DVDを持っていさえすれば、誰でも簡単に見られる。本当に幸せなことだ。
「オズの魔法使い」は、その後も何度か映画化された。しかし、ジュディ・ガーランドには到底かなわない。
ジュディ・ガーランドも、その後多くの映画に出演した。たとえば、「イースターパレード」は非常に魅力的な名作だ。しかし、「オズ」には及ばなかった。
Image Credits
虹の彼方に
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ドアを開けると
https://galaxyzooblog.files.wordpress.com/2015/06/wizard.jpg
出発
https://i.pinimg.com/originals/04/11/c1/0411c15211d371af9a9232e00f2efc41.jpg
かかし
https://static.wixstatic.com/media/046df9_dbc057ac1b7948c69fb91e31dcf8d610.jpg
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