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映画ほど素敵な世界はない

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映画がなかったら、生活はどんなに味気ないものになるだろう。家にいたまま夢の世界を見せてくれる情報技術に乾杯!
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#レーガン大統領

ドクター・ストレンジラブ:深刻なテーマほど喜劇に向く

 天才スタンレー・キューブリック監督の最高傑作、映画『ストレンジラブ博士』(1963年)。何度繰り返し見ても、飽きない。  キューブリックの作品では、『2001年宇宙の旅』(1968年)がよく知られているが、『ストレンジラブ博士』のほうがずっと出来ばえがよい。 (なお、この映画は、日本では、『博士の異常な愛情』というタイトルになっている。もちろん、これは誤訳である。「ストレンジラブ」とは主人公の一人である博士の名前だ)。  これは、偶発核戦争をテーマとしたブラック・コメデ

「スター・ウォーズ」は、1970~80年代冷戦の落とし子

 映画「スター・ウォーズ」の世界は、古代ローマそのものである。なぜなら、この映画は、アイザック・アシモフの『銀河帝国興亡史』を基としている。そしてアシモフは、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』から着想を得たからだ。  実際、古代ローマは、この映画のあらゆるところに顔を出す。  まず、統治機構。 銀河共和国の最高統治機関は、各星の代表が議員を勤める銀河元老院。  その最高議長が執政の長。ところが、分離主義者が反乱を起こす。パルパティーンが最高議長になり、独裁者となる。  彼の正体