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経済最前線

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2020年3月の記事一覧

アメリカ並みの「無条件納税猶予」を宣言し、連鎖倒産を食い止めよ

アメリカ政府は、18日、33兆円もの規模の納税猶予を決定した。売上げ急減で資金繰りが急迫し、連鎖倒産が生じる危機への対策だ。日本では危機意識が薄すぎる。 ◇ 行動制限で売上げが急減   コロナウィルスに伴う経済的コストの大部分は、感染拡大防止のために人々の移動や集会を制限することによって生じる。  日本でも、すでにそれがはっきりと表れている。  まず、各航空会社が減便で収入が激減している。百貨店や小売店の売上も激減している。  自営業やフリーランサーでも、損失が既に発

いま緊急に必要なのは、無条件納税猶予

◇一刻も早く納税猶予宣言を   現在の経済異常事態で、一刻も早く必要とされるのは、納税猶予だ。  緊急の措置として、申請なしに無条件で認める必要がある。  最初は、4月16日が期限の所得税と消費税。時間の余裕は、あまりない。  以後、事態の推移を見て、法人税、地方税にも拡張する。  さらに、源泉所得税の納税も延期し、企業は源泉徴収前の給与を従業員に支払う。  さらに、健康保険料や健康保険税、また年金保険料などの社会保険料に拡大することも考えられる。  ここまで拡大すれば、多

必要とされるのは、流動性の供給であって、株価対策ではない

 日本銀行 は、3月16日の 金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の購入目標額を12兆円に倍増した。  それにもかかわらず、日経平均株価 は前日比マイナス429.01円となった。  株式市場が恐れているのは、行動制限や集会自粛によって需要が抑えらるために一時的に売上げが急激に落ち込み、それによって連鎖倒産が発生することだ。  これは、ETF購入では抑えることができない。  行動制限>売上げ減少>資金繰り ショート>倒産>連鎖倒産> マネー の流れがストップ>経済活動

コロナウィルスによる経済的損失の補填策は、不公平ではないか?

◇ 経済的なコストは、「非必須消費」の減少で生じる  パンデミックのコストは、どのような形で生じるのだろうか?これについて、世界銀行による2008年の研究が参考になる。  それによると、コストはつぎの3種類に分類される。  第1は、死亡。これは、労働者が死亡することによって経済活動ができなくなることのコストだ。  第2は、休み欠勤。労働者が欠勤することによって経済活動ができなくなることのコストだ。  以上は、生産が減少するという「供給面」のコストだ。  第3は、拡大防止に

中国のPMIが悪化

 中国国家統計局が2月29日に発表した2月の中国の製造業の購買担当者景気指数(PMI)は、前月の50.0から大きく下げ、35.7となった。リーマン危機で大きく落ち込んだ08年11月(38.8)をも下回り、統計を遡れる05年1月以降で最低を記録した。  国家統計局の29日の発表資料によると、中・大規模企業の業務再開率は78.9%で、3月末までに90.8%へ上昇する見込み。中・大規模メーカーは25日時点で85.6%、3月末には94.7%になる。  非製造業のPMIも大きく悪化