見出し画像

2023 松本山雅FC 選手短評【MF編】

GK・DF編の続き!




見方の説明

選手名
出場試合数(うち先発出場数)出場時間 得点 アシスト
警告 退場

データは基本的にFootball LABから引用しています



MF

安東輝

10試合出場(先発9試合) 617分 0得点 0アシスト
警告1 退場0

プレシーズンマッチの神戸戦ではボランチとして相手のアンカーまで飛び出して攻撃の芽を摘みつつ、持ち前の機動力を活かして中盤全体を制圧する存在感を見せてくれた。今季から主将に就任し、気持ち新たにチャレンジするチームの先頭に立つ…はずだった。
開幕に出遅れ、戦列に復帰したのは第9節のFC大阪戦。信州ダービーで初先発に抜擢され、続く鹿児島戦にも連続で先発。鹿児島戦でのパフォーマンスは出色だった。向かい風の影響を受けて鹿児島が自陣から抜け出すのに苦労したとはいえ、鋭い出足でインターセプトを成功させて相手を自陣に釘付けにする立役者になっていたことは間違いない。安東輝ありきの戦い方だったと表現しても過言ではないだろう。
好事魔多しとはよく言うが、前半26分に再びの悪夢が襲う。古傷を負傷してしまい離脱。夏前に復帰して出場機会を得るも全快のコンディションではなく、なおかつチームがプレッシングラインをやや下げてミドルプレスに切り替えたことで安東輝の良さが発揮しにくくなってしまったのも災いしてしまった。8月に離脱すると最終節まで出場なし。安永玲央・米原秀亮のダブルボランチが定着したことで完全にポジションを失ってしまった。
それでも最終節を終えてチームの方針が間違っていないこと、さらにスタイルを磨き込むには時間がかかることについて明言するなど、クラブ・監督の目指す方向性を理解して発言する主将としての振る舞いはさすがった。来季も継続かと思われた矢先、12月11日に契約満了がリリース。詳細は伺いしれないが、きっと契約の切れ目だったのだろうし、直近3年間での稼働率の低さと年齢的な部分を考慮されての結果かもしれない。まずは怪我を癒やしてコンディションを整えるところから。ありがとうございました!


山口一真

12試合出場(先発8試合) 709分 1得点 0アシスト
警告1 退場0

昨季はレンタル先の町田でそこそこの出場機会を得ていたが、9月に右膝前十字靭帯断裂の大怪我をしてしまい長期離脱。そこへ町田が昇格を目指すために大型補強と監督交代を決断したことで、復帰後も出番には恵まれなくなってしまった。
夏の移籍期間で昇格に向けて攻撃力の向上が急務になっていた松本へ復帰。しばらくはコンディション調整に時間を要してしまったが、満を持して出場したホームの信州ダービーでのプレーは圧巻だった。左SHとしてハーフレーンでプレーするというチームの原則を守りながら、相手の配置や動きを見てタイミングよく下りてきてビルドアップの出口になる。相手が絶妙に捕まえにくいポジションを取り続けて左サイドを掌握していた。この試合を契機にポジションを掴み、相模原戦で見せた弾丸シュートは衝撃的だったし、彼にボールが入ると何か起こしてくれそうな期待感を常にまとい続けてくれた。
鹿島時代や水戸時代は、大学時代のプレーヤー像そのまんまで「王様」という表現が似合う選手だった。長期離脱を経て変化があったのか、組織の中でもプレーできる柔軟性を持ち合わせるようになって選手としての格がまたひとつ上がった印象。組織の規律を守りながらも、確かな技術や野心を上乗せできていて、コンディションさえ整えばJ2上位クラブでも主力を張れるはずだ。元々向上心の強い選手なのでJ3で満足できるとは思えず、好条件のオファーがあったらステップアップしていくだろうと思っている。来季もいてくれたら奇跡。


下川陽太

28試合出場(先発24試合) 2.027分 0得点 3アシスト
警告1 退場0

評価が難しい一年だったと思う。
開幕当初から左SBの1番手として信頼を掴み、持ち前の推進力と戦術理解の高さでタフに戦ってくれていた。左右両サイドこなせるユーティリティ性は魅力だが、本職は左サイド。慣れ親しんだポジションで活躍できるだけの環境は整っていたはずだ。
そんな中で一年間ポジションを守り切ることができなかった要因は、チームの求める戦い方と彼のプレースタイルとの微妙な不一致だと思っている。
下川陽太の特徴を一言で表すなら「90分間タフにサイドを上下動できて球際でも負けない強靭なフィジカル」だろう。SBとしての基礎能力が高く、プレーに安定感があって常に計算できるパフォーマンスを見せてくれる部分も様々な監督に重宝されてきた理由だ。一方で今季当初からSBに求められていたタスクは大外に張ってプレーするだけではなく逆サイドからフィニッシュに絡むことだった。そのタスクもシーズンが進むに連れて変化していく。低い位置からのビルドアップでミスをしないことだったり、SHとの連携が重視されていったり。大外レーンを任せて独力で突破するスタイルが得意な下川陽太のプレーイメージとは段々と離れていってしまった。プロなのだから求められた役割を全うすべきというのは正論だと思うが、得意不得意があるのも当然なので、やや苦戦している印象は否めなかった。そこへコンディション不良が追い打ちをかけた結果、最終盤に完全に行方不明になってしまったのではないかと思っている。
12月12日に契約満了がリリースされ、正直覚悟はしていたもののショックはあった。他クラブを経験しているとはいえ新卒で松本に入ってきてくれてクラブの歴史を知っている生き証人の一人であることに変わりない。彼のプレースタイルを活かしてくれるチームであれば、J2でも全然やれる選手だと思っているので、昇格を決めた古巣愛媛あたりが声をかけてくるのではないかと予想していたり。長い間ありがとうございました!またどこかで!


喜山康平

15試合出場(先発4試合) 496分 0得点 0アシスト
警告1 退場0

(おそらく)松本側からの要望で7年ぶりの復帰。左利きで展開力のあるボランチ、かつ戦術理解力が高く適格な指示で周囲を動かせる選手ということでチームづくりの核になっていくのだろうと予想していた。予想通り霜田監督からの評価は高かったようで開幕当初からメンバー入りを果たしていた。
ところが、蓋を開けてみるとボランチに思っていたよりプレー強度と運動量が求められたことが誤算だったかもしれない。元々ピッチを所狭しと走り回る選手ではないし、年齢を重ねてよりバランサーとしての側面が強くなっているのでミスマッチなのは否めなかった。今季の序列は同じ左利きで若く走れる米原秀亮の台頭で決定的になってしまった印象。
12月5日に契約満了リリース。CBや左SBでもプレー可能だが、どちらも求められる役割が彼の特徴とは合っておらず、活かしどころが難しくなってしまったように思う。とはいえ左足の精度は錆びついておらず、ボランチに強度よりもゲームコントロールを求めるチームに行けばまだまだ輝ける可能性はある。トライアウトにも出ていて現役続行のようなので、次のチームが早く見つかることを願っている。


パウリーニョ

18試合出場(先発15試合) 1,256分 2得点 0アシスト
警告2 退場0

シーズン開幕時は主力。全盛期には及ばないとはいえ、運動量とボール奪取力はさすがで、ビルドアップの中心となる新しい役割にも必死に食らいついていた。ただ、正直なことをいうと司令塔としての役目は彼が得意とするプレーではない。特に相手がボランチにマンマークを付けてきたり、CBからボランチへのパスコースを消すようなプレッシングを繰り出してくると、ビルドアップの局面で試合から消えてしまうことがしばしば見受けられた。動いてパスコースを作り出して、受けて捌いてまた受けるという連続性のあるプレー自体に苦手意識はないのだろうけど、キャリアを考えてもそういったプレーを求められてこなかったのも事実。
夏の移籍でスタイルにマッチした安永玲央がやってくると完全に序列をひっくり返されてしまい、そこからは出番を減らしてしまった。終盤もベンチ入りはしていたが出場はしないということも多く、監督やフロントからの評価は厳しいものになるやもしれない。安東輝・喜山康平が抜けたことでボランチが一気に若返っているので、プロとしての手本を示せる重しになる選手として来季も期待したいが。


菊井悠介

34試合出場(先発33試合) 2,975分 6得点 10アシスト
警告7 退場0

大卒2年目ながら副キャプテンに任命され、安東輝の欠場が多かったこともあって実質的にシーズン通してキャプテンマークを巻き続けた。昨季と比較して出場試合数・プレータイム・得点・アシストすべてが向上しており、名実ともにチームの顔と呼べる選手に成長した。多くの選手がいる2列目のポジションでも菊井悠介と同じタイプの選手は見当たらない。ライン間のスペースで受けて起点になりつつ、フィニッシュに絡み、プレッシングやカウンターの急先鋒になれる機動力・運動量も兼ね備える。間違いなくJ3ではトップクラスのタレントだ。今季は小松蓮と良好な関係を築けていたことも飛躍の一助となった。守備でも攻撃でも彼らの関係性が生命線だったし、相手チームからも「小松蓮と菊井悠介を抑えれば」という発言が出ていたくらい。
個人的に何よりも成長を感じたのは、ピッチ外での振る舞い。新しいスタイルにチャレンジするチームにおいて、フロントの掲げるクラブの方針・監督の目指すスタイルを深く理解し、消化して自分の言葉で発信できていた。第14節讃岐戦で勝利した後、目指すスタイルを考えたときに内容が全く満足できないこと、具体的にどの部分に満足できないかを言語化して厳しく指摘していた発言には痺れた。自分がチームを引っ張るんだという強い意志を感じたし、昨季は自分自身に向けた発言が多かったことと比較すると、格段に視座が上がってリーダーとしての振る舞いに変わったことが最も評価されるべき部分だと思う。
しかし手放しでは褒められない部分も残る。昨季窘められたはずなのに警告7という数字は早急に改善が必要だし、審判へ食って掛かるような態度はキャプテンマークを巻くものとして相応しくない。かえってゲームを難しくしてしまうことに繋がるので、冷静に対話をする姿勢であってほしいと願うばかり。
J3ベストイレブン・アシスト王をダブル受賞したということで上位カテゴリーからのオファーは必至。それでも来季は10番を背負って躍動する姿が見たいので、フロントはなんとか慰留してほしい。


滝裕太

32試合出場(先発19試合) 1,612分 3得点 3アシスト
警告2 退場0

清水からレンタルでやってきた有望株。たしかな技術と重心の低いドリブル、パンチのあるミドルシュートが魅力な選手で、チームの目指すスタイルにもフィットしていた。
予想通り開幕から右SHとして定位置をゲット。藤谷壮との縦関係はテクニカルで一定機能していたように思うが、当の滝裕太本人はそれほど輝けず。DFをぶっちぎるほどのスピードがあるわけではなく、左足でのプレー選択が豊富ということもないので、右利きの彼を右サイドにおくと頑張って縦突破を試みるけど抜ききれず何とかクロスを上げるマシーンになってしまって宝の持ち腐れ状態だった。菊井悠介の出場停止で左SHとしてプレーを得ると見違えるような輝きを見せた。やっぱり左から内側を向いてプレーできる選択肢が格段に広がり、8試合で3得点2アシストを記録。このまま主力としてプレーすると思われた矢先、野澤零温の加入で風向きが変わってしまった。同時期に村越凱光が序列を上げてきたことも相まってSHとしては3番手~4番手に序列が下がってしまい、最後までひっくり返すことができずやや尻すぼみな終わり方になってしまったのは残念だった。
滝裕太もチームの戦い方がリアリスティックな方向へ変わっていく煽りを食った選手の一人。ボール奪取の位置が低くなったことで、カウンターの距離が長くなり、よりスピードのある選手が求められるように。その結果の序列低下だろう。来季、改めて開幕当初見せていたような戦い方に戻すならば滝裕太の重要性は増すだろうし、終盤にかけて見せたような戦い方を継続するなら出番は限られる。いずれにせよ保有元の清水の動向次第となってしまうが、左SHとして継続して起用したら面白そうだと思っているので残ってくれないかなあ。


村越凱光

31試合出場(先発20試合) 1,757分 6得点 1アシスト
警告1 退場1

今季大きく成長した選手の一人。開幕戦でいきなりドリブルから素晴らしいシュートを沈めると、その勢いのままにコンスタントな出場機会を確保。正直彼の良さが100%活かせる戦術ではなかったと思うが、良い意味でエゴを捨てて監督に求められた役割を忠実にこなそうとする姿勢が評価されたのではないかと思う。
SHは多士済々な面々が揃っていたので競争も激しかったが、その中で突出していたのはスピードと気持ちの強さ。短い距離のスプリントはさることながら、ロングカウンターの局面でも自陣から相手ゴール前まで出ていける走力は魅力的。チームの戦い方がやや守備的に変化するに連れて、ますます重宝されるようになったのは「走り」の部分が大きかっただろう。チーム2位タイの得点数を挙げるなど攻撃面ではバリューを発揮できていた一方で、守備では伸びしろが多かった。相手最終ラインに行く/行かないの判断や、どれくらい内側に絞ってトップ下やボランチのサポートをするかなど、守備の個人戦術の部分は来季に向けたテーマになりそうだ。守備時の判断を間違えなくなってくると、寄せるスピードがより怖さを増してくるはず。
来季はゴール+アシストで2桁を目指して頑張ってほしい。


國分龍司

13試合出場(先発3試合) 0得点 0アシスト
警告0 退場0

今季加入した大卒ルーキーでは唯一の試合出場を経験。すごく尖った個性があるというよりは、能力のバランスが良くて大きな欠点がないことが強みという感じ。今季のチームは全員の連動性や戦術理解が大事だったので、個性が強すぎて大きな穴を開けてしまうと致命的で、むしろ組織の一員として馴染みやすい國分龍司のような選手のほうが早期デビューを果たせたのは納得がいく。実際にプレーを見てみると、柔らかいボールタッチでファンタジスタっぽい一面がありながら、守備では献身的にタフに走り回れる両側面を持っている選手という印象。
めちゃ不得意なプレーがないのは良いことでありつつ、器用貧乏のような立ち位置になってしまったことが今季伸び悩んだ要因の一つかもしれない。両SH・トップ下・ボランチとどこでも一定水準のプレークオリティを担保してくれるのだけど、主力選手に取って代わるようなインパクトを残すことはできなかった。フィジカルや運動量などの基礎的な部分を底上げしつつ、どのポジション・どの能力を伸ばしていくか、組織の中でどんなバリューを発揮していくかを見定めて成長することが来季飛躍のカギになりそう。


米原秀亮

22試合出場(先発17試合) 1,560分 0得点 2アシスト
警告3 退場0

松本加入後のベストシーズンだった。
霜田監督の掲げるスタイルを考えた際にフィットしそうという予想はしていたが、開幕からしばらくは出番なし。第9節にようやく途中出場で今季初めてプレーするが、その後は途中出場でちょこちょこ出番があるだけで監督の信頼を掴んでいたとは言い難かった。
それでも腐らずに地道な努力と積み重ねてきたのだろう。花開いたのは8月。富山戦で今季初先発を飾ると、そこから最後までずっと先発を続け、フル出場も多くなっていく右肩上がりでシーズンを終えることになった。
最も目を見張る成長を感じさせたのは守備面だろう。これまでの米原秀亮といえばパスセンスには光るものがあったが、いかんせん守備が軽く失点に直結するようなプレーが悪目立ちしてしまっていた。ブロックを組むことが多くて自陣ゴール前での守備機会が生まれやすかったチーム戦術との相性はあるが。それが定位置を掴んでからは、球際での競り合いに臆さず突っ込めるようになったし、ガツンと身体を当ててボールを奪う場面も増えた。そして攻撃面ではボランチがビルドアップの主体となるサッカーなので、これまで以上に縦パスやロングフィードを活かせるようになり、チームのテンポを作る役割を任されていた。開幕当初ベンチ外だった選手が終盤になるにつれてボランチの1番手として地位を確立してしまったのだから、その成長曲線は凄まじいものがある。
とはいえまだまだ伸びしろは多くあり、守備時のポジショニングや得点機会に絡むプレーが改善されてくると、よりスケールの大きなボランチになっていくのではないかと思う。来季はバチバチの主力としてフルシーズン戦ってくれること期待したい。


稲福卓

5試合出場(先発なし) 35分 0得点 0アシスト
警告0 退場0

2年前の最終節でプロデビューを果たし、昨季は名波監督のもとで着実に出場機会を増やしてステップを踏んだ。今季はボランチでいざ勝負!という年だったのだが、思うようには行かなかった。
キャンプから左SBとして起用されることもあったように、そもそもボランチで勝負する以前の状態だったというのが厳しい現実。運動量はあるし器用なので左SBもこなせてしまうのだが、今季求められていたようなドリブルでサイドをぶち破ったりするのは少々酷な注文と言わざるを得ない。あくまで本職はボランチであることに代わりないのだが、ボランチも激戦区だったために弾き出されてしまった格好だろう。
アカデミー育ちの選手としてフロントからの期待も大きいのだと思うけども、このままではちょっとスタメン争いに絡めそうな感じはしない。期限付き移籍で出場機会を積ませてあげてもいいのかもしれない。


住田将

29試合出場(先発12試合) 1,190分 0得点 1アシスト
警告1 退場0

出場試合数だけを見ると昨季より増えているが、先発出場数・プレータイムは減少。実際に過ごしたシーズンの中身を考えても昨季よりもややトーンダウンしてしまったシーズンだったと思う。
開幕当初は順調だった。ボランチの一角としてポジションを掴み、チームのバランスを整えながらパスで試合のテンポを作る役割をやりがいに感じているように見えた。ただ、第3節YS横浜戦ずーっとベンチから「サイドチェンジ!」「前から厳しくいけ!」と怒られ続けていたのも事実。試合には出れていたが決して満足のいく内容ではなかったというの実情だった。ネックとなっていたのは守備時のカバー範囲と球際の部分、それからパスレンジ。昨季よりも広範囲をカバーすることを求められて機動力が高い訳ではない彼は苦戦していたし、ボールを持った時にまず近いところを見てしまうところも大きな展開を望むベンチと食い違っていたようだった。
そういった課題が露見してしまったからか、徐々に出番を失ってしまう。途中出場することもあったが、左WBや左SBで使われるなどボランチとして信頼を掴めていたとは言い難い状態。同じ左利きの長身というキャラがやや被る米原秀亮が序列を上げていくのと裏腹に、ベンチ入りすらままならない日々が続き、消化不良のままシーズンが終わってしまった。
監督から与えられた課題に対して真摯に向き合って努力できる姿勢は昨季から見られていたし、真面目な性格なのでこれで腐るようなことはないはず。目の前の課題をひとつひとつ潰していって、来季はスタメン争いに割って入ってきてくれることに期待したい。


濱名真央

出場なし

昨季特別指定選手として見せたプレーがセンセーショナルだったので、ルーキーの中でも最も期待値が高かった選手だったのではないか。それだけに出場0というあまりにも厳しい現実は受け入れがたいものがある。
プレシーズンマッチの神戸戦、たしかに荒削りな部分はあるが積極的な仕掛けは一定通用していたように見えた。プロの水に慣れるまで時間はかかるだろうから夏くらいにメンバーに入ってくればと思って夏が過ぎ、昇格に向けた最終兵器として終盤に起用されるはずと思っていたらシーズンが終わってしまった。
トレーニングを見れていないので具体的にココが課題で起用されていない!と明言できないのが悔しいのだけど、逆に起用されているSHの面々から推測するに、守備の部分とオフザボールのポジショニングの部分だと思う。守備を頑張らない訳では無いが、昨季出場した短い時間内でもポジショニングが相当怪しかったし…。基本的にボール持ってからが勝負!という選手なのだけど、プロの試合では圧倒的にボールを持っていない時間のほうが長いわけで、そこでどれくらいチームに貢献できるかが分かれ道になっていそうである。これまでのキャリアを見ているに、地道に鍛えていくしかない部分であるので長い目で見るしかない。奇しくも大学時代にボール持ってナンボだったけどプロに入って壁にぶつかった経験を持つ大先輩山口一真がいるので、腐ったりせずに、たくさん話を聞いて考え方の変化だったりを学んで吸収してほしいと願っている。


安永玲央

19試合出場(先発19試合) 1,607分 0得点 1アシスト
警告6 退場0

監督が待望していたタイプのボランチ。夏の補強は大当たりだった。
豊富な運動量、CBからボールを引き取って前を向けるターン、出して動き直すプレーの連続性、ガツガツいけるメンタリティ…今季のボランチに求められていた要素を分かりやすく備えた選手だった。戦術理解度の高さとサッカーIQの高さはさすがで、試合後のコメントでも客観的に試合が見れていると思わされる発言が度々あったのは印象的。
チームの心臓として中心に据えると真価を発揮するタイプだが、サポート役に徹するような形になると存在感が薄くなってしまう典型的な選手。水戸でも彼中心のチームづくりをしていたところから方向転換があって出番を失い松本へやってきた。
改めてわかりやすい強みを持っている反面、研究対策されやすいという脆さも見えてしまったシーズンだった。松本デビューしたてのころは上手くいっていたターンも次第にマークが厳しくなるに連れて決まらなくなってしまった。インターセプトを狙ってくる相手に対して巧みに身体を反転させて入れ替わるターンが得意で、逆にトラップ時にボールが足元から離れやすいという長所短所を見抜かれてからは、無理にインターセプトを狙わずあえて寄せすぎずに離れていてトラップした瞬間にガツッと奪いにこれらてボールロストする場面も増えていった。また、前に出ていく守備が得意な一方で、勢いよく出すぎてしまって入れ替わられ手が出てしまう癖もあったので警告をもらうこともしばしば。長所は間違いなく霜田監督のサッカーにマッチしているが、終盤に米原秀亮と序列が入れ替わってしまったように課題を克服していかないと絶対的な地位を確立するまでには至らないかもしれない。
水戸からの期限付き移籍でやってきている身なので、どうなるかは水戸次第。中心に据えてくれる松本は居心地が良いだろうけど、J2クラブからの引き抜きがあるかもしれず完全移籍での獲得は競争になるかも。


だいぶ長くなってしまった!
次のFW・監督編で最後です!!


筆者のXアカウントはこちら。よろしければフォローお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?