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ルーカス ヒアンについて調べてみた

ルーカスヒアン選手の加入が発表された。
ただ、聞いたことのないクラブからの加入ということで、どんな選手?という疑問がまっさきに浮かんだので、少し詳しく調べてみることにした。

彼の経歴や実績を調べるにあたってはtransfermarktと、globo.comというポルトガル語のサイト、プレーについてはYouTubeを参考にさせてもらった。

英語やポルトガル語を読み解きながらの情報なので、もし間違っている所があればぜひ教えてくださいmm


プロフィール

本名はルーカス ヒアン サントス オリベイラ(Lucas Rian Santos Oliveira)。Rianをリアンではなくヒアンと発音することになっているらしい。ブラジル代表選手のリシャルリソンかヒシャルリソンか問題と同じや。

180cm/68kgと身長の割には細身という印象。まだ22歳と若く、野心を持って松本山雅に加入してきてくれた。


ブラジルでの実績は?

前提知識として簡単にブラジルのリーグ事情をまとめておく。
ブラジルには全国選手権というブラジル全土で争うリーグと、州選手権という州の中で争うリーグが並列している。全国選手権の下に州選手権があるのではなく、この2つのリーグは独立しているものだ。
全国選手権には1部(セリエA)~4部(セリエD)まで存在しており、1部には日本でも聞き馴染みのある有名クラブが名を連ねており、4部は64クラブがひしめきあっている。
1月~5月くらいまで州選手権が開催され、5月~12月は全国選手権というスケジュールで一年を走っていくことになる。1年で2つのリーグを戦うという日本だと想像がつきにくい感じ。

彼がキャリアを歩み始めたアトレチコ グロリエンセ(AD Atlética Gloriense)はセルジパーノ州(Sergipano)のクラブで全国選手権4部に所属。
2022年1月、セルジパーノ州の州選手権開幕戦。いきなり先発で出番が回ってくる。ポジションは4-2-3-1の右サイドハーフ。背番号23をつけたルーカスヒアンは60分というまずまずのプレー時間をもらっていた。
その後はベンチ入りするも出場機会がもらえない時間を過ごしたが、第5節に再び右サイドハーフでスタメン出場すると、決勝点となる先制ゴールを決めてチーム勝利に導いた。
続く第6節でも先制ゴールを決めて2試合連続。この時ゴールを決めた相手が、後に移籍するラガルトFC(Lagarto Futebol Clube)なのは不思議な縁を感じる。
波に乗るかと思われたが、ここで当たりが止まってしまう。チームも思うような結果が出ず、4-3-1-2や4-3-2-1などシステムを変えて迷走を始めてしまった模様。
結局このシーズンの州選手権は全14節のうち7試合出場して2ゴール。初年度としては満足のいく結果になったのではないだろうか。

ここで彼は期限付き移籍。同じ州のファルコンFC(Falcon Futebol Clube)に移籍しているはずなのだが、出場実績が見当たらなかったので割愛する。2022年4月20日、これまた同じセルジパーノ州のラガルトFC(Lagarto Futebol Clube)へ期限付き移籍。

アトレチコ グロリエンセは全国選手権4部に出場しておらず(州選手権の成績が悪いと出場できないことがあるらしい)、ラガルトFCは全国選手権4部に出場しているので、州選手権の活躍を評価されての獲得だったのだろう。
ラガルトFCでは5-4-1の1トップとして起用。グループステージを首位で通過したチームで前線の軸になり、開幕戦以外の全試合に出場。惜しくもチームはベスト16で敗れてしまったが、ルーカスヒアンは16試合出場9ゴールとエースとして君臨していた。
9ゴールという成績は全国選手権4部全体で見ても5位タイ。1位が11ゴールと僅差であること、9ゴール以上決めている選手では彼が最も若いことを考えると、『ブラジル4部リーグで目立った活躍を見せた若手有望株』と評しても過言ではないだろう。


どんなプレーをする選手?

参考にしたのはこちらのプレー集。サムネイルになっているユニフォームは、エンブレムから推測するにラガルトFC。

率直な印象は、前を向いてドリブルで仕掛けてなんぼの選手。突出したスピードがあるわけではないが、緩急だったり、またぎフェイントでスルスルと抜いていく。
また、本人の加入コメントでも両利きであることが語られていたが、プレー動画を見ても納得。左右どちらのサイドからもカットインしてシュートを放っており、トラップ・パス・ドリブルでも左右両足を遜色なく使いこなしていた。

ラガルトFCでは1トップを任されていたようだが、身体を張ってポストプレーをするというよりは最終ラインと駆け引きしてラインブレイク(裏抜け)を狙っていたようだ。システムも5-4-1とやや後ろに重めだったので、ロングカウンターの急先鋒としてドリブルで陣地回復をすることを求められていたのだろう。

後ろに重ためなチームでロングカウンターの急先鋒というと横山歩夢を思い出す。事実、好むプレーも横山歩夢と似通っている部分があり、単独で相手を剥がせる若手ドリブラーという補強ポイントにマッチする。
霜田監督が4-3-3を採用するとしたら、左右どちらかのウィングが適正ポジションだろう。


来季への期待と懸念

サイドを主戦場にする選手、個人で仕掛けて局面を打開できる選手が不足していたのでチームとしては願ったり叶ったりの加入。
プレーを見る限り左右どちらでも起用できそうなのはチームに戦い方の幅を持たせてくれそうだ。

相手のプレッシャーが緩いことは差し引いてみるべきだが、ミドルレンジからのシュートも装備しているようなので、守備ブロックを固められた時の特効薬としても期待したい。

ただし、過度な期待は禁物だ。
まだ22歳と若く、プロキャリアも1年ほどしかない様子。まずは異国の地に慣れることから始める必要があるだろう。幸い日本の文化を積極的に吸収する姿勢は見せてくれているし。

また、彼がプレーしていたのがブラジル4部だったという点も十分考慮すべき。プレー集を見てもらえれば分かるが、攻守の切り替えや球際の競り合い・シュートブロックなど、J3の方が厳しいだろうなと感じる場面しかなかった。よくブラジル人選手がJリーグはサッカーのスピードが速いと言うが、ピッチ内でもどれだけスムーズに適応できるかが肝になりそう。

持ち味を最大限に活かすならば、スペースがある状態で前を向いて仕掛けさせる場面よお膳立てが大事になってくる。チームとして彼に時間とスペースを届けられるか。その仕組みが完成すれば、J3でも猛威をふるい出す可能性はある。オープンな展開になりがちな試合終盤などは特に。

ルーカスヒアン!
ようこそ松本山雅へ!

ほとばしる野心を胸に、J3を制して共に駆け上がろう!


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