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#088 静岡県内の企業の技術が探せるWebサイト「テクノロジー静岡」

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今回は、静岡県が運営している以下のWebサイトのご紹介です。
(記事中の検索結果などは2020年時点での情報になります)

テクノロジー静岡
https://technology-shizuoka.jp/

何か新しい事業を始めたり、新しい製品開発を行いたいと思った場合に、静岡県内の優れた技術を持つ会社を、技術から検索・マッチングしてくれるというサイトです。

「テクノロジー静岡」とは

「テクノロジー静岡」とは、静岡県が運営する技術情報Webサイト

1_テクノロジー静岡

静岡県の企業が、何か新しいことを始めるために「こんな技術が欲しい」と思った場合、その技術を検索キーにして、その技術を持った地元企業を検索することができます。

2_検索画面

試しに使ってみた

例えば、地元で農業をやっている方が、作物の生育やビニールハウスの状況をセンサーなどを使って自動的に取得・制御するような、いわゆる "IoT化" を進めたいと思ったとしましょう。
とはいえ、そもそも何から手をつけたら良いかわからないし、どこに相談したら良いかもわからないと思います。

その場合、まず、このサイトを使って、地元の IoT に強い会社を探してみましょう。
「制御する(センシング)」「センサ」「AI・IoT」「制御する(環境)」「温度・湿度」「光」あたりにチェックをいれて検索してみます。

3_検索画面

この検索では、なんと27件も情報が出てきました。

一つ一つ見ていくと、農業関係のセンサーシステムを1点から作ってくれそうな会社がいくつも見つかりますが、その中でも、例えば、以下の「株式会社アルガファーム」さんなんかは、既に農業生産物をセンサーで仕分けするようなシステムを開発されているようです。

4_検索結果

社名のリンクをクリックしてより詳しい情報を見ていくと、

5アルガファーム技術

この会社が得意とする技術が丁寧に説明してあって、とても参考になります。
さらに下の方にスクロールしていくと、

6_問い合わせ先

問い合わせ先の電話番号やメールアドレスが書いてありますね。
ここでは、左側の「AOIプロジェクト」というところが、特に農業分野のオープンイノベーションを支援する団体のようですので、こちらに相談するのが良いような気がします。

「テクノロジー静岡」の良いところ

さて、このように、非常に内容が充実している「テクノロジー静岡」。
実際に使ってみて、以下のような利点があると思いました。

・登録されている企業の数が多い
        上のように簡単に検索しただけで数10件の地元優良企業が出てくるのは非常に強いと思います。

・地元の企業が登録されている
        同じような検索は、多分 Google などの検索エンジンでも上手くやればできるのでしょうが、静岡県の地元の企業がきちんと整理されて登録されているのは、地元企業にとってはとても使いやすいと思います。
        特に、現在のようなコロナ禍ですと、遠くの会社とコラボするというのは現実的に難しくなってきています。こういった地元企業どおしを繋ぐプラットフォームは今後更に重要になってくるのではないかと思います。

・信頼できる企業のみが登録されている
        このサイトには、「先端産業創出プロジェクト」に参画している企業や、「地域未来投資促進法関連企業」など、技術的に担保された企業が掲載されています。
        どの企業に頼んでもきちんとした結果を出してくれるという安心感があります。

・分からないことがあった場合には、コーディネーターの方が助けてくれる
        直接個々の企業に連絡を取るのでは無く、間に「静岡県産業振興財団」や「先端産業創出プロジェクト」といった窓口が相手先の企業と繋いでくれるため、連絡のハードルが低くなっています。
        (もちろん、相手先の企業に直接連絡するのも可です。)

7_問い合わせ先

「先端産業創出プロジェクト」が目指す8つの新しい産業とは

最後に、上で出てきた「先端産業創出プロジェクト」について補足しておこうと思います。
現在静岡県では、以下の8つのプロジェクトを「先端産業創出プロジェクト」と位置づけ、これらのプロジェクトに参加する企業を募り、サポートを行っています。

[1] 次世代自動車
・静岡県の輸送用機器関連中小企業が「固有技術」を活かし、次世代自動車の部品を製造することで、新たなビジネス展開ができるよう、開発・設計から製造・販売までをワンストップで支援。

[2] フォトンバレー
・光・電子技術の世界的拠点形成を支援し、光・電子技術を活用した地域産業の活性化を推進。

[3] FH CaOI (Food and HealthCare Open Innovation)
・機能性食品等の研究開発や農林水産物由来の化粧品開発に加え、ヘルスケアの取組を支援することにより、「食を中心とする健康増進社会の実現」を推進

[4] ChaOI (Cha Open Innovation)
・異業種の技術やアイデア、ノウハウを組み合わせて、茶の革新的な商品や新しい利用方法の開発を促進するオープンイノベーションの取組により、静岡茶の新たな価値や需要の創出、需要に応じた生産構造への転換等による茶業の再生を推進

[5] MaOI (Marine Open Innovation)
・日本一深い湾である駿河湾等の特色ある海洋環境や、多様な海洋生物などの海洋資源を活用し、マリンバイオテクノロジーを核としたイノベーションを促進。海洋産業の振興と海洋環境保全の世界的拠点の形成を推進。

[6] ふじのくにCNF
・次世代素材として注目を集めている「セルロースナノファイバー(CNF)」による産業創出を図るため、CNFを利用した製品(用途)開発を支援。

[7] AOI (Agri Open Innovation)
・先端的な科学技術の活用による革新的な栽培技術開発を進め、農業の飛躍的な生産性向上を図るとともに、産学官金の参画を得て、農業を軸とした関連産業のビジネス展開を促進。

[8] ファルマバレー
・医療からウエルネスまで世界レベルの研究開発を進め、医療健康産業の集積と特色ある地域の発展を推進

上記いずれも財団法人などが「中核組織」として、参加企業を束ねる活動を行っておられます。
「Open Innovation」という言葉が多く使われていることからも分かる通り、同じ分野の企業だけでなく、異業種・異分野との連携、大学や自治体の参加、が活発に行われているようです。

お茶や駿河湾など静岡県ならではの取り組みも興味深いですし、自動車や光技術、医療など、今後市場が大きく変換・拡大する分野へのチャレンジもとてもおもしろそうです。
他社の技術を自社に活かす、という観点だけでなく、これらのプロジェクトに自社の技術がどう活かせるか、という観点でこのサイトを使うのもおもしろいかと思いました。

これらのプロジェクトには継続して注目していきたいと思います。

まとめ。

(1) 今月10月14日に、静岡県が「テクノロジー静岡」というWebサイトを公開しました。優れた技術を持った静岡県内の企業を、技術をキーにして検索することができます。

(2) 検索でヒットした企業に対しては、直接その企業に連絡をとって連携することもできますし、「静岡県産業振興財団」や「先端産業創出プロジェクト」といった窓口を活用して連携を計ることもできます。

(3) 現在静岡県では、「次世代自動車」や「フォトンバレー」といった8つのプロジェクトを、「先端産業創出プロジェクト」として推進しています。もし、自社の技術がこうした新しい産業の創出に関われるようでしたら、こういったプロジェクトへの参画を検討するのも良いのではないかと思います。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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