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旅にカメラが欠かせない理由  1/2

絶景を見たとか、逆にひどいトラブルがあったとか、そういうことではなくて平穏なライドだったのに、転機になるような1日があります。
これはそのひとつの記録。

「カメラは散歩を旅に、旅を冒険にしてくれる」



佐原ライド、略してサワライドの概要


千葉の佐原は、かつては商家街として栄えたそう。利根川があって水路が整備されていたおかげで、街として発展しやすかったのでは。当時の面影を残す歴史的建築物もあって「北総の小江戸」と呼ばれています。
小江戸というと川越が有名ですが、やや観光地化されたところがあって、佐原のほうが好きだという声も聞くくらい。
好物のうなぎが有名なので、それも興味がありました。

東京から佐原まで東へ向かっていくことになるけれど、自転車で走るには我孫子方面まで水戸街道を北上して、利根川サイクリングロードを快走するのが一般的。これだと120kmくらいで、時間に余裕があれば銚子まで行けます。
サイクリングロードを走り続けると景色がほとんど変わらないため、半分くらいは市街地を走ることにしました。晴れていたら太陽がのぼってくる方向へ走って、利根川が近づいてきたらサイクリングロードに乗ろうかな、くらいの緩い計画。



機材


カメラはX-T5、レンズはXF8mm。正しい名前はXF8mmF3.5 R WRですが機材のレビューではないので省略します。
120kmほぼ平坦なためストイックになる必要がなく、どうやってカメラを持っていくか迷う余裕がありました。新しいことを試すチャンスでもあります。
現地に着いたら撮影モードに切り替える、というスタイルではなく、移動のあいだも気になるものがあったら写真を撮りたかったので、カメラにアクセスしやすいことが重要。

最初の候補が三点保持のストラップ
自転車乗りのために専用設計されたもので、カメラをたすき掛けしてもずれなくて、さっと構えることができます。ふだんはX-E3につけてある。

カメラ一台とレンズ一本にしては大袈裟すぎるけれど、バックパック型のカメラバッグも考えてみました。

大型スリングバッグを試すチャンスかも。
うまく自転車に使えてないけれど可能性があると思っています。
ストラップの形状に工夫してあるため、メッセンジャーバッグなどに比べてカメラを入れても安定して走れる。ノートパソコンとミラーレス一眼を入れても余裕あるサイズ。

天気が不安定という予報で、雨が降ったとき防塵防滴とはいえ気分が良くないのでストラップはNG。
ロードバイクに最適なリュックとして定評あるドイターのRACE Xが候補に。
カメラにプラスになることはほとんどないけれど、背中が蒸れにくく、背負ったときのバランスも走りやすいです。


そこで「そうだ、輪行しよう!」と思いつきます。
ルートを選ぶのに、走りやすい、早い、近い、だとナビでも対応していますが、写真を撮りたくなることがたくさんありそう、という優先順位はAiにはまだ難しいはず。
輪行袋や簡易的な着替えなど荷物が増えるのでWANDRDに決定。



旅にはカメラが欠かせない


前の週に養老渓谷を走って、こちらは坂も多くて写真のことばかり考えている余裕がなく、半分くらいはスマホで撮りました。カメラ持ってこなくてよかったかも、と思ったくらい。

でも後で写真を見比べたとき、スマホで撮ったものだと物足りないことに気づきました。
情報は全て写っているし、すぐSNSにアップすることもできます。メモ感覚で撮れるのでシャッターのハードルが下がって、結果としてプラスになることもある。何年か経って見直したとき、記憶を呼び出すためのインデックスとしたら十分かもしれない。

けれども自分が感じていたことが写真に残っていません。興奮しながらカメラを向けて、どう撮ろうか悩んでた記憶もない。
そこに自分がいたという感じがしません。
見ていたものは撮れていても、感じたことが写っていないというのは、旅の写真としたら残念なこと。

高揚する心
狭い部屋をどう撮ろうか悩んで気づく、淡い光や匂いとか
スマホでも撮ったけど何も写ってなかった

どこを走るかが重要なのではなく、そこで何を見て、どんなことを感じたかが重要で、それをなんとか写真に残したいと思います。そのためにはスマホではなくちゃんとしたカメラが欠かせないと気づきました。

写真は言葉と比べると、コードが曖昧なため解釈の余地があって、誤解が生まれやすく、扱えないものも多いから致命的に何かが欠けている。
けれどもそれを補おうとして、想像力や自分の体験を重ねようとする力が働くことで、深いところに響く可能性があります。


#写真家が自転車に恋をして  08



道シュラン


ミシュランは、グルメのために移動が多くなるとタイヤメーカーが儲かるといった風が吹けば桶屋が儲かる的に始まったと聞いたことがあります。
道について語るとき写真についても語れるかもしれないので、走りやすさと写真を撮る楽しみの両方から。

01  国道四号線(水戸街道)   ★☆☆

トラックが多く「自転車のこと邪魔だと思っているのかな」と考え続けることに疲れます。なるべく傍に寄ろうとすると砂利が散らばっていて、路面もでこぼこでコンディションが良くない。
ここよりさらに道が細く、歩道に乗って回避することができない296号線の次に苦手。

けれどもずっと走り続けると東北まで繋がっていて、800kmもの一本の道が変化していく様子は東海道よりドラマティックかもしれません。
ロードムービー的な予感があります。

その水戸街道を北上して栃木まで走ったとき、心を残そうと思った一枚。
写真にはこれができる。
音声やBGMがある何分もの動画や、たくさんのテキストでも伝えられないこと。

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